社会
Posted on 2012年05月09日 10:58

池上彰 そうだったのか!日本復興を阻む「敵」(3) 原発再稼働にうごめく裏事情

2012年05月09日 10:58

――昨年のGW号で、池上さんから「脱原発宣言どころか今年の春には脱原発状態になる」と教わりました。
 ええ、5月5日に北海道電力の泊とまり原発が定期点検に入ると、全ての原発が止まることになります。政府は表向きには言いませんが、やはりその前に大飯原発を再稼働したいんです。
――枝野経産相が「一瞬ゼロになる」と発言しました。
 そう、民主党政権の中でも何としてもやりたいというのと、やりたくないという意見が分かれていて、今はその綱引きをやっているんですね。枝野経産相は最初は「現時点では反対」と言いましたが、一晩で「地元の理解を得ていく」という表現に変わりました。
――“原発が全て止まっても大丈夫だ”ということになるのは避けたいわけですね。
 そう。でも大飯原発は関西電力で、東京は周波数が違うからホントは関係ないんですけどね。仙谷政調会長代行なり民主党の主流は「周辺の自治体はOKだから動かしたい」というのがある一方で、これまでは原発の再稼働の合意を求めるのが周辺10キロ圏内の自治体だったのが今度は周辺30キロ圏内まで広がったでしょ。そこに、100キロ圏の橋下大阪市長が「うちとも協定を結べ」なんて言いだしています。枝野経産相のように「大阪市長、滋賀県知事、あるいは大阪府知事が NOと言ったからやっぱりダメです」というシナリオを考えている人たちもいるんです。
――今回の事故では福島原発から半径20キロ圏内の飯舘村の被害は甚大でした。
 そのとおり。原発立地の自治体にはこれまで電源交付金などが下りていましたが、まったく恩恵もないまま、全員が避難しなければならなくなった気の毒な自治体もあるわけですよ。
 大飯原発の地元は、何千人もの作業員がいなくなるわけですから、このままでは町が寂れてしまう。だから一刻も早く再稼働してくれとなる。だけど交付金が下りない隣の県は冗談じゃないという話になるわけです。ですから今後、どこかの原発を動かそうとすると、これまでのように原発立地の自治体だけがOKを出せばいいとはいかなくなるんですね。今回の事故で、非常に広い範囲で被害が出るということがわかった以上、原発の再稼働というのはたいへん難しいことになっているわけです。
――まず、再稼働ありきでは困る。
 そうなんです。それに関西電力としては、大飯原発が再稼働しないままこの夏乗り切れちゃうと困るわけで、再稼働したから乗り切れたという形にしたいんですよ。ですから再稼働しない場合に19%の電力が足りなくなると発表したでしょ。その数字が独り歩きしていますが、よーく見るとですね、昨年ではなく、一昨年の酷暑の時という、かなりいろんな条件付きでの数字で、何でホントに足りなくなるかは検証できないんですよ。実はどうも乗り切れるんじゃないかとも言われている。

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