スポーツ
Posted on 2018年03月18日 17:58

大方の予想を覆し“小さなエース”が率いる関西学院中が優勝した第5回選抜

2018年03月18日 17:58

 1899年に野球部を創部。1916年の第2回夏の選手権大会で早くも初出場を果たし、1920年の第6回大会ではついに夏の選手権制覇。そこから高松商(香川)、和歌山中(現・桐蔭)に次ぐ史上3度目の早さで夏と春、両方の大会を制したチームがある。関西学院中(現・関西学院=兵庫)だ。

 夏の優勝の時は準決勝で鳥取中(現・鳥取西)相手に14‐3、決勝の慶応普通部(現・慶応=当時は東京代表だったが、現在は神奈川へ移転)戦では17‐0というワンサイドゲームで圧勝と、打力を全面に押し出したチームだった。だが、選抜制覇の時は小さなエースと言われた悳宗弘投手を中心とした守りのチームへと変貌していた。

 1928年に開催された第5回春の選抜は前年夏の選手権から現在のNHK大阪放送局が開始したラジオ実況が初めて実施された大会である。大会前は快腕サウスポー・小川正太郎(早大)を擁する和歌山中の前評判が高く、前年に続く2連覇が濃厚と見られていた。対する関西学院中は完全な伏兵扱い。対戦カードも1回戦から強豪の下関商(山口)と、地元チームという以外にはさほど注目されてはいなかったという。だが、この初戦でエース・悳が好投。相手打線を6回裏の1失点だけに抑えて初回表に味方打線が挙げた3点を守りきって3‐1でちょっとした番狂わせを演じたのである。

 さらに関西学院中は続く準々決勝で甲陽中(現・甲陽学院)との地元兵庫勢対決を5‐1で制すと準決勝の高松商との試合も4‐2で競り勝ち、ついに決勝戦へと進出したのだ。

 迎えた決勝戦。もう一方の勝ち上がりチームは大会前の下馬評通り、難敵・和歌山中である。試合前は大方が和歌山中の圧倒的勝利を予想していたが、いざ試合が始まると意外な展開に。なんと2回裏に関西学院中が2点を先制したのだ。この後、強豪ばかりを倒して勝ち上がった関西学院中は粘り強い試合運びを見せた。小さなエース・悳が和歌山中打線に10安打を浴びながらも相手の反撃を9回表の1点に抑えて2‐1で勝利。和歌山中の連覇を阻むと同時に地元・兵庫県に初めて春の選抜優勝をもたらしたチームとなったのである。

 戦前は甲子園の常連だった関西学院中だが、戦後は報徳学園などの新興勢力を前に、なかなか甲子園で姿を見せることができなくなっていた。だが、夏の選手権では2009年の第91回大会で70年ぶりに出場を果たし、2回戦まで進出。オールドファンに古豪復活を印象づけた。

(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=

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