政治

憤激レポート「オラが町の行政はデタラメ天国だ」(3)質問した市議はなぜか及び腰

 だが、ここでトラブルが勃発する。地元記者が解説する。

「当然ながら、蓮田病院は医療法人。医療法では、医療法人が行える事業に、ビル建築は含まれていない。蓮田病院は撤退を余儀なくされることになります」

 常識的に考えるとJV選定段階で、医療法人が建物を建てて利益を得るのはおかしい、との指摘がなかったのか、はなはだ疑問だが、

「当然、議会では『この問題の責任は誰が取るんだ?』との声が飛んだようです。市長は『謝罪をするのではなく、ビルを完成に導くのが責任の取り方だ』とし、謝罪もせずに再開発計画を前に進めることになった」(市議会関係者)

 そんなドタバタを繰り返した事業計画に、市長提訴にまで発展したトドメの一撃が、「10億円裏金疑惑」だったのである。

 現在はビルの建設予定地に駐車場が点在している状態だが、近くに住む男性はこう声を荒らげるのだ。

「30年もかかってチンタラやって、結局は小さなマンションができておしまい。税金を納めているのは私らだからね。本当にフザけるな、と言いたいね。もし金のことで疑惑があるのなら、議会でトコトンやるべきでしょう。マスコミも徹底的に追及してほしいね」

 中野市長はこの事態をどう考えているのか。本誌は、

(1)事実関係について、市民に説明の機会を設ける予定があるか

(2)裁判が始まった場合、工期の延期やスケジュール変更はありうるのか

(3)困惑する市民の声にどうこたえるのか

 との質問状を送ったが、蓮田市広報課からの返答は「ご質問にはお答えしかねます」。建築を担う東急不動産に、住民訴訟で建築スケジュールの変更があるか尋ねても、「特に変更はありません」。埼玉県にも見解を聞いたが、「蓮田市にまだ訴状が届いていないということなので、県として現段階でコメントできることはありません」と言うのみだった。

 そこでこの問題を今年6月に市議会で一般質問したK市議を取材すると、明らかに動揺した口調で「すみませんが、追加してお話しできることはないです」と及び腰なのだ。市議会関係者が事情を明かす。

「なにせ市が情報公開しないため、疑問点があっても精査できない。そこが大問題なんです。蓮田は田舎の典型で、市議といえど下手に騒ぎたてることで多方面で関係が悪くなるため、質問も遠慮がちになる。議員は市民の代弁者。役所と喧嘩をしなければいけない立場にいます。ところが、そんなことをすると袋叩きにあう、と怖がって何もできない人がいる。行政を監視し、不正があればそれを正すのが議員の仕事。でも蓮田は議員の論理よりも、村の論理が優先している。本当に困ったものです」

 最後に原告のA氏が複雑な思いで言う。

「この問題については記者クラブで会見もしましたが、記事にしてくれたのは読売新聞だけ。問題があったら取材して正確な報道をするのが報道機関の役割。ところが、記事にすらしない。地元の恥をさらすようでつらい思いもありますが、この現状を一人でも多くの市民に知ってもらいたい。私自身も建設そのものは大賛成。ですが、やり方がまずい。使われるのは我々の血税なんです。市民に目を覚ましてほしいのです」

「埼玉一市民協働のまちづくりをすすめる」を公約に掲げて当選した中野市長。説明のない「疑惑の10億円」を巡る裁判の行方に注目したい。

カテゴリー: 政治   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
2
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
3
ボクシング・フェザー級「井上尚弥2世」体重超過の大失態に「ライセンスを停止せよ」
4
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
5
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか