社会

TPPで「躍進&衰退」する業界(3)最も割りを食うのは「貧乏人」

 日本が誇る産業といえば、戦後の高度経済成長を支えてきた電機メーカーやアパレル産業なども忘れてはならない。

 「いずれの業界も、世界的に見れば、一人勝ちのグローバル企業が利益を総取りする構図。アパレルでは、H&Mやユニクロなど、ごく限られた企業が牛耳っている。また電機メーカーでは、韓国のサムスン電子が日本のお家芸を駆逐し、さらにはスマートフォンでもアップルのアイフォーンと並ぶ存在感を示している。要は日本では、ユニクロのファーストリテイリングが一人、気を吐いている状態」(経済専門誌記者)

 そして、最も割りを食うのは「貧乏人」という厳しい現実だ。荻原氏は、「現在のアメリカの『格差社会』こそ日本の未来だ」と断言する。

 「自由化と言えばいいイメージですが、逆に、みんなが競争にさらされるということです。強いライオンが食べるのは、弱者のシマウマで、弱者はさらに弱者を食べるというのが、競争社会の掟。大きな変化を被るであろう食品、医薬品業界が変われば、日本が誇る安全性も失われます。金持ちは国産の高い食べ物を買って、高額医療も受けられる。一方の貧乏人は、どこで作ったかもわからない食品を買う生活になる。映画監督のマイケル・ムーアが製作した『シッコ』では、国民皆保険でないアメリカの保険制度を告発しています。足をケガしたら自分で縫わなければいけない社会になるかもしれない。貧富の格差が大きいアメリカ社会に近づくというイメージですよ。決して、アメリカが日本に近づくことはない」

 TPP参加表明に好感を示したマーケットは活気づき、日本経済の目先は一見、好調だ。だが、規制撤廃でガタガタになる業界と、高笑いする業界が、二分されることだけは間違いない。アベノミクスが目指す未来は、思いのほか厳しいものになる。そんな予感が捨てきれないのだ。

カテゴリー: 社会   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
JR東日本に続いて西と四国も!「列車内映像」使用NG拡大で「バスVS鉄道旅」番組はもう作れなくなる
2
【ボクシング】井上尚弥「3階級4団体統一は可能なのか」に畑山隆則の見解は「ヤバイんじゃないか」
3
これはアキレ返る!「水ダウ」手抜き企画は放送事故級の目に余るヒドさだった
4
舟木一夫「2年待ってくれと息子と約束した」/テリー伊藤対談(3)
5
決別必至!「立浪監督VS中田翔」中日ドラゴンズ冷戦勃発「我慢の限界」発火点