芸能
Posted on 2013年07月09日 10:00

萩本欽一「スーちゃん突然のアポなし訪問と女優復帰に隠された“一大決心”」(1)

2013年07月09日 10:00

 72年、「あなたに夢中」でデビューしたキャンディーズ。「年下の男の子」などのヒット曲でたちまちトップアイドルになりました。

 しかし、78年「普通の女の子に戻りたい」と解散。

 その2年後、田中好子さんことスーちゃんは僕の番組「欽ちゃんのどこまでやるの!?」(テレビ朝日系)で芸能界に復帰します。

「普通の女の子に戻ったんじゃないのか!」。あの時、スーちゃんはずいぶんとマスコミに叩かれました。

「そうじゃないんだ!」。僕はそう叫びたかった。

 でも、その当時は僕とスーちゃん、2人だけの内緒話だったし、発言できなかったのです。

 今はスーちゃんも天国にいます。もう、話しても許してくれるでしょう。

 あれはキャンディーズが解散して1年半ぐらいたった頃でした。スーちゃんが、僕の東京の自宅兼事務所を訪ねてきたのです。

 それまで僕はスーちゃんとまったく面識がありませんでした。キャンディーズは渡辺プロダクションの所属で、当時、僕の「欽ちゃんのドンといってみよう!」(フジテレビ系)の裏番組が、渡辺プロ制作で「ザ・ドリフターズ」の「8時だョ!全員集合」(TBSテレビ系)でした。

 だから、渡辺プロのタレントさんは「全員集合」に出て、「欽ドン!」に出演することはなかったのです。

 そして、キャンディーズの解散‥‥。本当なら僕とスーちゃんは一生、顔を合わせる機会がなかったはずです。

 そのスーちゃんの突然のアポなし来訪。どうやら、僕のインタビュー記事を読んだらしいんです。

「一度も会ったことがないのに、こんなふうに突然、訪ねてきてごめんなさい。私、あの記事を読んですごく感激したんです。何か考え方とかも、ものすごく感じるものがあって、それで萩本さんにどうしても会いたくなっちゃったんです」

 いろんな話をしたのですが、僕が「もう、芸能界には復帰しないの?」と聞くと「しません」。スーちゃんはキッパリと答えました。

「弟が1人いて、病気なんです。骨髄の難病で、いつ死ぬかもわからないんです。だから私、毎日看病してるんです。これからもずっと弟のそばにいてやりたいんです。何年かかっても、弟の看病を続けます」

 僕が「スーちゃんは弟さん思いなんだねぇ。でも、スーちゃんが働かないで弟さんのそばにずっとついてあげてるのは、本当に弟さんのためなのかな?」と聞くと、「はい。弟のことをいちばんわかってるのは私だし、弟も安心だと思うんです」とスーちゃん。

 その言葉を聞いて「それは違う」と僕は言いました。

「弟さんはスーちゃんにそばにいてもらって、うれしいと思いながらも、ちょっぴり負担を感じてるよ。スーちゃんの生活を自分の看病に明け暮れさせてしまう負担をさ。それに弟さんは働けない。働きたいと思っても、病気で働けないんだよね。そしたら、スーちゃんがその弟さんの望みをかなえてあげるためにも『あなたの分もお姉ちゃん、働いてるのよ。あなたはゆっくり休んでなさい』。そう言うほうがいいと思うよ。そしてさ、働く姿を弟さんに見てもらったほうがいいね。

 普通の会社だとダメだけど、テレビならいつでもお姉ちゃんの働いてる姿が弟さんにも見える。『お姉ちゃんは僕の分もあんなに一生懸命、働いてくれてる』とテレビならそれがわかるんだから」

 僕の言葉を聞いて、5分近く黙り込んだスーちゃんでしたが、急に真剣な顔つきになり、「私、テレビに出ます! 私、そばにつきっきりがいちばんいいと思ってたけど、間違っていたみたい。テレビに出ます!」。

「でもね、スーちゃん、またテレビに出ると、マスコミからいろんなことを言われるよ。その覚悟はできてるの?」

「大丈夫です、私。弟のためなんだもん」

「そうだよね。弟さんのためだったら、どんなひどいことを言われても大丈夫だよね。そしてさ、このことは僕とスーちゃんだけの内緒にしておこうね。人前で『弟のために復帰しました』なんて言うのは、病気の弟さんをダシにしているみたいでよくないよ」

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