芸能

萩本欽一「静謐な魂の百恵さんと茶目っけのある昌子ちゃん」(2)

「女」に目覚めた昌子ちゃん

 これはちょっぴりエコひいきになってしまうかもしれませんが、3人の中では僕は森昌子さんにいちばん思い入れがあります。

「スター誕生!」の第1号歌手は昌子さんでした。彼女が72年に「せんせい」でデビューし、その年のいろんな新人賞を獲ったということは、番組にとっても大きな意義がありました。

「昌子ちゃんに続け!」と、翌年、百恵さんと淳子さんがデビューしたわけです。

 3人は「中三トリオ」として雑誌の取材なんかでもいつも一緒でした。でも、いつの間にか、百恵さんと淳子さんのほうが注目されだしたのです。

「スター誕生!」に3人がゲスト出演してくれた時のことです。これは番組スタッフから聞いたのですが、楽屋で3人仲よく話をしていると、雑誌のカメラマンが、

「ごめん! 昌子ちゃん、ちょっとどいて!」

 百恵さんと淳子さん2人だけの写真を撮りたいんですね。そんな時、昌子さんは嫌な顔もせず「ハイ!」と離れるのだとか。

 僕はそんな昌子さんが大好きになりました。

「スター誕生!」の特別番組でも、3人にゲスト出演してもらって、コントなんかやると、必ず百恵さんはかわいい娘さん役で、淳子さんは二枚目の男役、そして昌子さんは、意地悪なおばあちゃんの役です。

 それでも、昌子さんは不平も言わず、ニコニコ顔です。僕はスタッフに言いました。

「『スター誕生!』を有名にしたのは昌子ちゃんだよ。それなのに、昌子ちゃんに対する愛情の注ぎ方はよくない! 百恵ちゃんや淳子ちゃんは、この番組が力を入れなくてもグングンと伸びていくよ。この番組でいちばん、力を入れるべき人は、昌子ちゃんだよ。特別番組は昌子ちゃん中心で作るべきだ」

 おばあちゃん役でもいいんです。かわいいおばあちゃんで、そして、そのおばあちゃんが中心なら。

 娘さんと二枚目が中心で、おばあちゃんはほんの脇役じゃかわいそう。注目されるおばあちゃん役でないとダメなんです。

「目がクリッとしてて、茶目っけのある昌子ちゃんには、そういうかわいいおばあちゃん役がいい!」

「スター誕生!」では実現できなかったので、「欽どこ!?」に、おばあちゃん役でレギュラー出演してもらうことにしました(80年)。

 かわいいおばあちゃんで、すごく評判がよかったんです。

 ちょうどその頃、「スター誕生!」に昌子さんがゲスト出演してくれました。

 ゲームのコーナーで、体重計に乗るゲームがあったんですが、昌子さんが「乗らない」と言うんです。

「嫌だ!」って。

 その時、僕は「アッ!」と思いました。ちょうど百恵さんの婚約が伝わってきている時でした。

 女なんですねぇ、昌子さんも。きっと「私も女らしくふるまいたい」「きれいになりたい、痩せたい」と思い始めたのだと思います。

「アッ! これは昌子ちゃんにお笑いをやらせてはダメだ」

 そう思って「欽どこ!?」のおばあちゃん役も終わりにしました。

 クリッとした目で、タワシみたいな頭、そんなかわいい昌子さんが僕は大好きでしたが、昌子さんは健康美より、女の美が欲しかったようです。

 女の子って、女の子から女に成長していく、これは避けられないことなんですよね。

 娘を持つ父親のような心境を、しみじみと味わった僕でした。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
JR東日本に続いて西と四国も!「列車内映像」使用NG拡大で「バスVS鉄道旅」番組はもう作れなくなる
2
【ボクシング】井上尚弥「3階級4団体統一は可能なのか」に畑山隆則の見解は「ヤバイんじゃないか」
3
これはアキレ返る!「水ダウ」手抜き企画は放送事故級の目に余るヒドさだった
4
舟木一夫「2年待ってくれと息子と約束した」/テリー伊藤対談(3)
5
決別必至!「立浪監督VS中田翔」中日ドラゴンズ冷戦勃発「我慢の限界」発火点