社会
Posted on 2020年06月22日 05:55

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<良性発作性頭位めまい症>「低い枕で横になり寝返りが少ないと…」

2020年06月22日 05:55

 めまいの症状があると「メニエール病」を疑う人も多いだろう。しかし実際に診断されるのは2割程度。6割が「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」と診断されるという。

 この病気は、内耳の障害が原因で発症する。内耳にある「耳石器(じせきき)」という部分にある炭酸カルシウムの塊の「耳石」が、何らかの原因で剥がれ落ち、平衡感覚をつかさどる「三半規管」に入り込んでしまい、めまいを起こすというメカニズムだ。

「三半規管」はリンパ液で満たされていて、頭の動きに応じてリンパ液も流れ、その動きを感知して、体のバランスをとっている。しかし、「三半規管」に「耳石」が入り込むと、リンパ液の流れが乱れ、体の動きと合わなくなり、情報のズレによってめまいを発症する。

 めまいのほとんどは20~30秒から数分程度で治まる。吐き気や嘔吐を伴う場合もあるが、聞こえの悪化や耳鳴り、意識障害や運動障害が起こることはない。

 この病気が疑われたら、目の動きの検査と聴力検査を行う。治療薬は特になく、手術もごくまれだ。基本的には「浮遊耳石置換法」という、浮遊している「耳石」を元の位置に戻すリハビリ治療が基本。

 この病気になりやすい人は、長時間同じ姿勢でいることが原因になるとも。耳鼻科で診断される人の約5割が、デスクワーク従事者というデータもある。また、低い枕で寝ている人や、寝返りの回数が少ない人、横になってテレビを見る人もなりやすいと言われる。意識的に時々、頭を動かすほうがいいだろう。

 この病気は「良性」と名前がつくように、極度な心配はいらないが、手足に力が入らない、マヒやしびれがある、ろれつが回らない、激しい頭痛がある場合は、脳が原因の「悪性頭位めまい症」かもしれない。

 命に関わる危険性があるので、その場合はすぐに医療機関を受診しよう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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