芸能
Posted on 2013年09月11日 10:00

藤圭子と「昭和歌謡」の怨念(3)ヘリで営業先を移動したことも

2013年09月11日 10:00

 藤圭子にとって初代のチーフマネジャーである川岸咨鴻〈ことひろ〉は、半世紀近い芸能稼業で2回だけ頭を丸めたことがある。2度目はアイドル・木之内みどりが「恋の逃避行」で仕事に穴を空けたことへの詫びとして。その前に初めて丸めたのは、71年大みそかのこと。圭子の新曲の「京都から博多まで」(72年1月)のヒットを祈願してのことだった。

「当時、玉置宏さんの司会で日曜の昼にやっていた『ロッテ歌のアルバム』(TBS)ね。あの番組には『今月の歌』というコーナーがあって、どうしてもそこに入れてほしかったんだ」

 元日にプロデューサーを訪ね、丸めた頭で直訴する。その勢いに押されたプロデューサーは「今月の歌」を約束し、1カ月にわたって人気番組のプロモーションにつながった。

 この行動には、圭子のレコード売上げが落ちていた焦りがあったと川岸は言う。

「やっぱり前川清との結婚と離婚はダメージがあったよ。前川の事務所の和久井保代表が『今の時代で言えばジャニーズとAKB48の結婚だろ』と言っていたけど、そのくらい藤圭子はアイドルだったんだな」

 いくらかレコード売上げに陰りが見えたとはいえ、前述のように営業などを含めた人気は変わらない。川岸は圭子とともにヘリコプターで営業先を移動したことも何度かあった。

 さらに所属の「藤プロ(後に澤ノ井音楽事務所に改称)」は、代表の石坂が作詞や作曲を手がけ、楽曲の原盤権も持っていたことから金回りも良かった。

「石坂さんは夜になると事務所の金庫を開け、歌舞伎町に繰り出す。そこでみすぼらしい姿の女の人を見ると、必ず何万円かつかませるんだ。あのクセさえなかったら、もっと財産が残ったんだろうけど」

 川岸は73年6月まで在籍し、現在の浅井企画に移っている。芸能界では事務所とタレントがギャラの配分で揉めることが多いが、石坂と圭子にはこうしたトラブルはなかった。

「俺がいる間に圭子は広尾のマンションに引っ越せた。フカフカのじゅうたんがあって、貧しい暮らしだった彼女には夢のような世界だったんじゃないの」

 さらに世田谷でアパートを経営するなど、人気に見合った金額は渡されていたという。

 ただし、その大金は圭子の家族を離散に追い込んでゆく。圭子の実父で元浪曲師の阿部壮は、若い女と駆け落ちしてしまい母親と離婚。さらに「金の無心」に走る日々だったと川岸は言う。

「俺も事務所でオヤジとは金のことで何度もやり合った。もっとよこせとか、そんな感じだったよ。彼女が照實さんと結婚した後も、金をせびりに行っていたらしいから」

 大ヒットを放って豊かになったゆえの家族崩壊──それはやがて、さらに天文学的な数字となって藤圭子自身が巻き起こす「悲劇の連鎖」に連なった。

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2026年11月02日 15:30

    脳梗塞で療養中だった伊達みきお(サンドウィッチマン)が、10月31日の「サンドウィッチマンザ・ラジオショーサタデー」(ニッポン放送)で、2カ月ぶりに復帰した。「さあ、時刻はお昼の1時を回りました。こんにちは。サンドウィッチマンの伊達みきおで...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年11月04日 13:00

    泉ピン子が訴えられた。映画製作会社「HumanPictures」が11月3日、所属監督の映画「AYUMI」と「養父」に出演したピン子に対し、損害賠償を求め2日付で東京地裁に提訴したと、公式Xで公表したのだ。問題が発生したのは、10月23日に...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    芸能
    2026年11月05日 17:00

    毎日のように見聞きする「不正アクセスによる情報漏洩」のニュース。もはや情報漏洩していない企業のほうが珍しいんじゃないのってくらいだし、それどころか官公庁にまで被害は及んでいる。三菱UFJフィナンシャル・グループが、2027年3月までの開業を...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/10/27発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク