芸能
Posted on 2020年08月02日 05:57

真夏の「キャンギャル」55年ヒストリー<小野みゆき>「ナツコの夏」に抜擢され2カ月半の海外ロケ

2020年08月02日 05:57

 燃えろ、いい女! 燃えろ、ナツコー! 世良公則のシャウトがインパクトを放った79年の資生堂化粧品「ナツコ」のキャンペーン。小野みゆき(60)が、ユーモアたっぷりにナツコ秘話を振り返る。

「高校卒業直後が分岐点ですね。骨折して入院していたら、オーディションが最終選考まで終わっていたんです」

 ならば、どうやってキャンギャルになったのか。

「事務所にたまたま資生堂の方がいらして、スタッフが私の写真を見せたら『オーディションはもう最終段階だけど、カメラテストに参加しなよ』と誘われ、途中参戦したんです」

 ファッションに無頓着だった小野は、なんと「スクール水着」で挑んだ。

「周りは、すてきなハイレグ水着の細くてキレイなお姉さんばかり。一方の私は部活をやめて太り、入院中も差し入れ太りし、10キロ増量したうえでのスクール水着なので、その姿は女子プロレスラーそのもの。スタジオ入りした瞬間、スタッフたちがサーーッと凍りついたのがわかりました」

 だが、それが功を奏した。ナツコのテーマは「自立した強い女性像」で、小野が持つ「静かな情熱を秘めた凛としたオーラ」こそ、必要とされていたのだ。

 情報解禁に厳しい広告業界ゆえ、小野は家族にも選ばれたことを伝えられず、海外への長期ロケに飛んだ。

「なかなか撮り終えることができず、帰国は当初の予定から大幅に遅れた2カ月半後。親族女性と2人で住んでいたアパートに帰ると、部屋がなくなっていました」

 親族は「みゆきちゃんが帰ってこない! 不良になっちゃったよ!」と確信し、アパートの部屋を解約してしまったという。小野はスーツケース片手に途方に暮れた。

 さて、当時は化粧品会社のPR合戦が激化していた。

「私は知名度も人気もないけれど、『女性の自立』という新たな価値観が若い女性たちに刺さり、ナツコは資生堂で初めて品切れするほど売れたようです」

 比例して小野の知名度も急上昇。それに困惑したのが、瓜二つの双子の弟だった。

「弟の格好はダサいんですが、いわゆるイケメンで。街中で『あ、ナツコだ! あれ? 男? えっ、なんで!?』と混乱を招きつつ指をさされまくり。女性にはモテたようで、『姉ちゃんのせいで普通の生活ができなくなった』とボヤいていました」

 小野自身も「男性にはモテなかったけど」としつつ、甘酸っぱい記憶をたぐる。

「私は撮影の衣装替えなど、そばに男性俳優がいても躊躇なく脱いでインナー1枚になるんです。男性から見るとその行為は『恥じらいがない』と感じるようで。その反面、女性から好意を寄せられたことはたびたびありました。手を握られたりすると、誠意を持って接したいと思いつつ、どうしていいのかわからず焦っていましたね」

 近年では、バラエティー番組「アウト×デラックス」(フジテレビ系)に、同番組の熱烈ファンとして出演。新たなファン層を拡大中だ。さらに7月24日から公開中の「クシナ」(アルミード、アップリンク渋谷より全国順次公開)で10年ぶりに女優復帰。男子禁制の村を束ねる村長を演じる。

「撮影はハプニングの連続でした。深夜に富士の樹海で撮影していたスタッフたちが、警官から職務質問を受けて叱られて。撮影当日に役者が来ないこともしょっちゅうで、スタッフが多忙すぎて、連絡が滞ってしまうんですよ。そんな時に代役で来てもらった『ヘアメイクさんのお友達のお母さん』が、役者顔負けの驚異的な演技力を発揮。奇跡が何度も起こりました」

 ナツコから41年、あの胸に響く凛とした眼光を、スクリーンで確認されたし。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/6/24発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク