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記事全文を読む→歴代総理の胆力「菅直人」(1)「イラ菅」の異名が付いた理由
菅直人という元総理大臣の一端を物語る、こんなエピソードがある。
昭和56(1981)年秋の臨時国会。時の衆院の行政特別委員会で、社会運動家として鳴らした市川房枝女史とともに立ち上げた少数野党「社民連」の1年生代議士だった菅が、質問に立った。
国家予算の歳出項目に、国が都道府県にどれだけの補助金を出したかを示す「補助事業費」というのがある。国による、公共投資の目安となるものである。その配分上位は、東京、北海道、大阪、愛知といった大都市。当時14支庁が集まり、北海道開発庁まで置いていた北海道が、順位ともども大方ベスト5の常連であった。
ところが、昭和37年度に“異変”が起きたのだった。日本海側の一雪国であるハズの新潟が、一気に愛知の次の5位に躍進、その後は愛知を抜いて4位、ついには東京、北海道に次いで3位まで躍進するのである。新潟が5位に入ったのは、田中角栄の蔵相時、4位が自民党幹事長、3位が幹事長、通産相時、そして総理大臣のときだったのである。
ここでは、田中が実力者の階段を駆け上り、予算獲得に腕力を示したことが分かるのだが、菅が行政特別委員会の質問で、これにクレームをつけたということだった。
「田中角栄氏の出身地である新潟県は、他県と比べて補助金が断然多い。これは、どう見てもおかしいのではないか」
ところが、この委員会所属議員には田中派議員が多くおり、菅に猛烈なヤジを浴びせたのである。
「新潟は広いんだ。もっと勉強して来いッ」
「雪をどうする! それが政治というものだ」
このあとの質問はズタズタ、菅はくちびるを噛むようにして質問席をあとにしたものである。
あえて、若き日の菅のこうした例を引いたのは、菅という政治家のリーダーシップの根幹を見るためである。
すなわち、市民運動上がりらしく国民の不満が奈辺にあるかの直感力はなかなかだが、一方で大局観に欠け、独断専行に走るきらいがあるということだった。また、権力欲もなかなかのものがあるようであった。
さらには、前任総理の鳩山由紀夫は東大工学部卒だったが、こちら菅は東工大応用物理学科卒でともに「理系脳」、すなわち物事の進め方は「情より知」が先行するタイプで、菅の場合はこれに自分の意に沿わぬ相手にはすぐイラつき、情け容赦なく怒鳴りつけるというヘキが加わり、「イラ菅」の異名が付いていた。ために、人の集まりが悪く、民主党内の求心力は脆弱で、政権運営はことごとく躓いたのだった。結果、前任の鳩山同様、一年で退陣を余儀なくされた。しかも、政策的な実績はほぼゼロと言ってよかったのである。
その政権を振り返ってみると、政権に就いて早や1カ月後の7月には参院選が待っていたが、財務省からの消費税10%の増税案を口にしたことで、参院選は敗北した。しかし、その直後となる9月の代表選は対抗馬に強力候補が出ずで、からくも「再選」を果たすことはできたのだった。
しかし、その後も、政権運営は迷走の連続だった。折から、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉が政局の焦点に浮上してきたが先送り、鳩山前総理が口火を切った沖縄の普天間飛行場移設の代替案を、自ら模索せずであった。
一方で、政権基盤の強化を模索して、自民・公明両党との「大連立構想」を打診したが、時の自民党総裁・谷垣禎一から「1党独裁に通じる巨大政党の誕生は好ましくない」と一蹴されている。
そのほかにも、安易に日本の国債格下げ問題に言及して大恥をかき、引き上げるべき法人税を「引き下げる」と答えたり、TPP交渉を「IPP」交渉と読み違うなど、経済・財政の弱点も見せつけた。
■菅直人の略歴
昭和21(1946)年10月10日、山口県宇部市生まれ。東京工業大学理学部卒業後、弁理士となる。昭和55(1980)6月、衆議院議員初当選。平成8(1996)年、厚相として薬害エイズ事件に対応した。平成22(2010)年6月、民主党代表。内閣組織。総理就任時63歳。現在73歳。
総理大臣歴:第94代 2010年6月8日~2011年9月2日
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。
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