社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<エコノミークラス症候群>「在宅勤務の落とし穴。実は冬場の脱水が…」

「エコノミークラス症候群」をご存じか。正しくは「急性肺動脈血栓症」。飛行機などの狭い座席に長時間座り、足を動かさないことによって血栓ができ、それが血流に乗って肺の血管を詰まらせ、急速に息ができなくなってしまう病気だ。

 特に新型コロナウイルスに感染すると、血栓ができやすいことから、「エコノミークラス症候群」のリスクが上がるおそれが指摘されている。

 いや、感染に至らずとも、コロナ禍で外出を控えて長時間のテレビやゲームやテレワーク生活をしていると、足に血栓ができやすくなる。椅子に座ったまま体を動かさず、ずっと同じ姿勢を維持すれば、2時間程度で血栓ができるという報告も一部にある。在宅勤務でも、1~2時間に1度は立ち上がり、体を動かす必要がある。

 この病気は、発汗などによって体内の水分が失われ、脱水症状になりやすい夏場に発症しやすいと言われるが、冬場も油断は禁物だ。暖房をつけた室内で過ごしていたり、こたつや電気カーペットなどを使用した状態で長時間うたた寝していたりすると、脱水症状になるリスクが高い。特に、汗をかく夏場と違い、体内から水分が失われていることに気づきにくくなる。

 有効な予防策は歩くこと。体を動かすことで筋肉の収縮運動が起き、ポンプのように働いて静脈内の血液を心臓に向かって押し出し、うっ血を改善してくれるのだ。

 寒いからと外出を控えたい人は、こまめに足首を回したり、かかとの上げ下げ、ふくらはぎのマッサージもいい。

 血栓は血液がドロドロになることで起きやすくなるので、こまめな水分補給も必要だ。ただし、アルコールは利尿作用があり、脱水を引き起こす可能性があるため、控えたほうがいいだろう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
4
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身