社会
Posted on 2014年01月15日 09:56

被災地を無視した震災復興予算の流用実態に迫る(3)

2014年01月15日 09:56

 そもそも復興予算の流用は、今回が初めてではない。前例となったのは阪神・淡路大震災だったという。出口氏が解説する。

「この時の一番の基本方針が『創造的復興』でした。単に戻すだけではダメだということで流用が行われました。結果、今回ほど全国規模にはなりませんでしたが、兵庫県が通常だったらできないような事業などを入れ込んだのです。中には防災に使用されたものもあり、それは重要なのですが、復興予算で行うこととは筋が違うだろうと思います」

 以来、復興予算の「流用」は日本における災害のお家芸となったようだ。流用の調査は非常に複雑で、かなりの人と金をかけなければ問題が浮き彫りにならず、このことが官僚の暗躍を許しているという。

「NHKの取材に当研究センターも協力しました。まず488もの予算のチェックシートを情報公開で入手し、それを一つ一つ仕分けして、再度チェックする地道な作業でした。NHKでは大量のアルバイトを雇い、約1カ月の時間をかけてようやくわかったのです。これらの作業を個人がやることは不可能に近く、そのことが流用問題を不透明なものにしているのです。本来なら国会議員が行うべきことなのですが、そうした調査をしているという話は聞きません。したがって、現在、流用が行われているかどうかは誰もわからないのです」(前出・出口氏)

 膨大な書類の向こうで「活力ある日本の再生」のために粛々と流用されているであろう復興予算。本質的な解決が行われない背景には政権内部に漂う“空気”があるという。国会議員が語る。

「予算流用の構造は民主党時代にできたもので、今の与党内には『なぜ民主党の尻拭いをしなければならないのか』という意識があります。こうしたことが問題の解決を遅らせているのです。安倍総理の国土強靭化計画で、復興予算に頼らなくても公共事業ができるようになったので、流用は激減するだろうという期待も根本的な解決を遅らせている原因の一つでしょう」

 復興は、復興庁が取りしきるべきなのだが、前出・出口氏はこう指摘をする。

「復興庁は東日本大震災復興基本法の公布後にできましたので、流用の責任を押しつけるのは少しかわいそうという印象はあります。あまり権限がないのですが、やはり予算の主管は復興庁ですから、第一義的な責任者として役割を果たしてほしいと思います」

「流用」というタレ流し実態が叫ばれる一方で、復興予算は4.5兆円もの使い残しがある。適正に予算が使用され、本当の意味での復興が行われるようにすることこそ、ケジメと言えよう。

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