時代劇は手作りのよさがある
「必殺仕事人Ⅴ」の組紐屋の竜は、当初は屋根の上から組紐を悪人の首に絡めて瓦をぶち破るなどの荒技を見せていたが、試行錯誤の末、鈴のついた赤黒2色の組紐を悪人の首筋目がけて投げて巻きつけ、宙づりにして窒息死させるものになった。
「時代劇には手作りのよさがありますよね。『あんみつ姫』(08.09年・フジ系)を撮った時、昔のことを知らない熱心な若手スタッフが『必殺で組紐がシュルシュルシュルと飛んでくるのは、どう撮ってました?』と尋ねてきたから、『下にカメラを置いて、上から組紐をクルクル回して落とし、それを平面にするとシュルシュルと飛んでくるように見えるんです』と伝授しました。
ド新人時代の僕は、大川橋蔵先生、若山富三郎先生ら大先輩の方々から時代劇の作法を惜しみなく伝授していただきました。おせっかいかもしれないけど、今度は僕が若い俳優に教える番。例えば、藤木直人君が初めて織田信長を演じた時(『太閤記』03年・フジ系)、彼の家まで行って、『この腹布団を腹の中に入れて貫録をつけてよ。着物っていうのは、そういう着方がカッコいいんだよ』って教えまくりましたね」
痛快娯楽時代劇の魅力は、荒唐無稽さだという。組紐や銭が飛んできて、百発百中で当たるなんてありえないシーンに、視聴者はスカッとした。そんな時代劇がかつて週に2~3本放映されていたが、「必殺」がなくなり、唯一残っていた「水戸黄門」も消える。
「『銭形平次』に出演していた時、近くのスタジオで『桃太郎侍』を撮影している高橋英樹さんも見てきたし、松方弘樹さん、里見浩太朗さん、杉良太郎さんのカッコいい姿も目にして、
『いつか、ああいう役をやってみたいな』と夢みていました。時代劇がなくなって、若い役者にこういった憧れがなくなってしまうのが怖いですね」 この8月7日、京都のかつら製造会社「八木かつら」から出火し、事業所や工場などがほぼ全焼した。テレビや映画の時代劇に使われるカツラを手がける老舗で、カツラや材料や工具なども全て焼失した。
「『必殺』に出演していた時に描いた〝カツラデザイン〟が最近、偶然にも見つかったんです。このデザインにちなんで、7月に情報番組で僕が八木かつらさんを訪ね、僕のカツラと再会するシーンを撮ったばかりなんですよ。
普通、カツラは使用後にバラされて、他の役者さんのために違う形に結い直され使用されるんです。大きな箱の中に入れて、誰がかぶってもいいようにしてある。逆に、自分に合ったカツラを新調することが役者としてのステータス。しかし、僕のカツラは、特殊な結い方をされていて、新しいのを作らず、直してもらいながら、使っていたんです。
僕と同じ年の職人さんの光ちゃん(八木光彦さん)も、久しぶりに僕のカツラのメンテナンスをしようと思い、自宅の仕事部屋に持ち帰ってくれていた。それで火災は免れました。でも、腕のいい職人さんが30人いらして、その方たちが嘆いているのは、自分の使ってきた道具が焼け焦げたり、ススだらけになっていることなんです」
京本にとって「水戸黄門」が終わってしまうというニュース、そして今回の八木かつらが焼けたというニュースは、大きなショックだった。しかし――、「テレビの娯楽時代劇を何とかしなきゃという思いがあふれてきて、逆の意味で奮い立ちましたね」 と、時代劇への熱い思いを募らせた。
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