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Posted on 2023年09月16日 05:56

世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「慶応高校優勝で感じた『甲子園』」

2023年09月16日 05:56

 夏の甲子園は慶応高の優勝で盛り上がった。4年ぶりに声出し応援が戻り、慶応のアルプススタンドは大迫力やった。清原の次男が出た時の声援もすごかった。そして選手たちは帽子を脱いだらサラサラヘアの慶応ボーイ。坊主頭が当たり前の昭和世代の野球人としては、時代の変化を感じさせられた。

 慶応高の優勝はワイドショーでも取り上げられて、長髪や丸刈りの議論もされていた。それに関しては、はっきり言ってどちらでもいい。丸刈りを強制する時代ではないし、髪の毛を伸ばしたいなら伸ばせばいい。もちろん、スポーツマンらしい髪形が大前提で、やはりロン毛や金髪は球児でなくても、高校生としてふさわしくない。一方で、丸刈りの球児たちを時代遅れと非難するのも違う。好きでやっているのなら、それでいいやんと思う。僕も丸刈り時代は夏場でもすぐに頭からバシャッと水をかぶれて楽やった。野球部を引退するまでは特に伸ばしたいとも思わなかった。周りが極端に「いい」「悪い」を決めつけない方がいいということ。

 慶応が掲げている「エンジョイ・ベースボール」という言葉も、野球を知らない人たちからは「楽しそう」と思われている。でも、楽しいだけのチンタラした練習では甲子園では勝てない。

 慶応ナインはバッティングも投手もよかった。センバツで負けた仙台育英を倒すことを目標に、厳しい練習を続けてきたはず。それに、エンジョイでも上下関係はきちんとしないといけない。もちろん、昔のような暴力やしごきは、あってはならないこと。でも、楽しい中にも礼儀は必要。朝、先輩に会ったら「おいっス」でなく「おはようございます」やし、あいさつは大事。それができないと、社会に出てから困る。野球がうまくなるより、人間としてもっと大事な学ぶことやと思う。

 時代に応じて変えていくべきものはあっても、何でもかんでも変えればいいというわけではない。夏の甲子園大会の開催自体に疑問を投げかけている人もいるけど、それは本気で野球をやったことがない人の意見やと思う。熱中症の危険のある暑い中でやらすのはかわいそうと言っても、炎天下でやっているのは高校野球だけではない。甲子園が目立つだけで、他のスポーツもやっている。だいたい、普段の練習も昼間にやっているわけやから。

 甲子園でなく、ドーム球場でやればいいという意見もまったく球児の気持ちをわかってない。出場校の選手にアンケートしてみればいい。「甲子園とドーム球場のどちらで試合したいですか」と。答えは決まっている。青空、太陽、大応援団、浜風、黒土、あの甲子園の景色に憧れるねん。だから、厳しい練習も頑張れる。甲子園は暑いから嫌だ、違う球場で試合したいという球児はいないはずや。

「甲子園に出た」というのは一生の誇りで、孫の代まで自慢できる。「全国大会に出た」とは言葉の響きが違うからね。暑さも含めてすべて思い出。チームメートに会えば、何年経っても甲子園を目指していた頃の話題になる。

 球数制限や、延長戦からのタイブレーク制は時代の流れで導入された。来年のセンバツからは金属バットも低反発のものが採用される。それはそれでいい。でも、甲子園という「舞台」だけは守り続けてほしい。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。

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