社会

「男だと認める」静岡LGBT裁判「生殖機能の規定」をめぐる異例の決定で揺らぐ「男女の定義」

 体が女性、心は男性(体の手術はしていない)だという人物が、男性であることを認めてほしいとする裁判で、これを認める決定が下された。10月12日、静岡の家庭裁判所でのことだ。性別変更の要件のひとつである、生殖機能をなくす規定を違法としたのである。

 振り返れば、今年7月には最高裁で、経済産業省に勤務するトランスジェンダー女性が職場の女性用トイレを使用することを可とする判決が下されている。このケースでは、原告と職場の関係性も加味された。

 翻って今回の静岡のケースでは、ある問題が生じている。いち家庭裁判所が既存の性別変更の要件、つまりは性同一性障害の特例法(一部)が憲法違反だと判断したことにより、男女の定義そのものに揺らぎを与えたことになるからだ。

 LGBT問題についてはマスメディアで多くの報道がなされているが、一般的にはまだまだ理解がなされているとは言えないだろう。「T」が意味するトランスジェンダーの定義を正しく理解し、説明できる人はどの程度いるだろうか。「体が男で心は女」「体が女で心は男」だけではない。

「日本ではまだ議論を重ねて、LGBTへの理解を深めて行くべき段階です」

 と話すのは、LGBT問題を取材するジャーナリストだ。続けて、

「ネット上にはLGBTに対する疑問や、否定的な意見をタブー視する過激な言動が溢れています。LGBT理解増進法についても『理解増進と共に行き過ぎた取り組みを制限し、国民全員が幸せに生きられるようにする』という趣旨であるにもかかわらず、臆測含みの言行が活動家や新聞、政治家から発信されている。例えば10月17日の産経新聞(THE SANKEI NEWS)。〈LGBT理解増進法 産経『女性を守れない悪法』 推進派の朝毎は『後退』批判〉の記事にもあるように、推進派と慎重派の双方から批判されるという珍妙な事態になっています」

 あるいは一部の県や市区町村では、暴走気味な条例・教育がなされているという指摘もある。大企業においてもLGBTを応援する取り組みを行っているが、その内実は新宿「トー横」のジェンダーレストイレ問題で、撤廃になってしまった事案のように、非常に不安定。まだまだ国民の間で議論が必要な状況なのである。それなのに…。

 筆者は2児を持つ親であり、この性を取り扱う問題は慎重になりたい。日本の現状を無視し、勝手に性の自認を認めてもいいという意見の後押しとなりうる静岡の決定には、異を唱えざるをえない。

 LGBTはそれに該当する人だけでなく、国民全体が当事者とも言える。未来の日本を支える子供を持つ親御さん全てに、注意喚起を促したい。

(樹シュウ)

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