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記事全文を読む→寄せ集め集団「アビスパ福岡」をルヴァンカップ優勝に導いた長谷部監督の手腕
2023JリーグYBCルヴァンカップは、アビスパ福岡がアジア王者の浦和レッズを2-1で破り、クラブ史上初のタイトルを獲得した。
誰もが知っているスター選手がいるわけではない。ボール保持率はJ1で18チーム中17位。はっきり言って堅守速攻のチーム。自分たちからアクションを起こしてゲームを支配するチームではない。ただ、それを選手が理解しているからこそ、ハードワークを徹底して全員が最後まで体を張り全力で戦う。
ただ、この決勝は立ち上がりから守ってカウンターを狙うのではなく、真っ向勝負を挑んで互角以上のサッカーを見せ、点差以上の快勝だった。
スカウティングも見事だった。浦和の強みは、アレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテンのセンターバックを中心とした守備。簡単にクロスを放り込めば高さのあるセンターバックに跳ね返される。
だから2点のアシストを決めた紺野和也のクロスは、ともにグランダーのクロスだった。高さでは勝てない。だったらグランダー勝負。そこはクロスを出す紺野も中で合わせる選手も共通意識があったはず。しかも点を決めた時間帯もよかった。先制点は開始5分、2点目は前半終了間際のアディショナルタイム。
後半になって浦和は攻撃的に出てきたが、攻守の切り替えが早く、特に帰陣が早い福岡の守備は大きく崩れない。途中から入った選手も自分の役割を理解して、前線からボールを追いかけたり、ボールをキープすれば時間を使うなど、常にチームのために戦い見事な勝利だった。
評価するべきは長谷部茂利監督の手腕だ。2021年にJ1に復帰させると、クラブ最高成績の8位に導き、今季は天皇杯で初のベスト4進出、そしてルヴァンカップでも初の決勝進出を果たし、クラブに初のタイトルをもたらした。
今季も順調ではなかった。開幕前に志知孝明がサンフレッチェ広島へ、ジョルディ・クルークスがセレッソ大阪と両サイドが移籍した。9月にはルキアンが筋肉系のトラブルで離脱。東京ヴェルディから移籍していた佐藤凌我が大怪我で今季絶望。そんな中でも、やり繰りしてタイトルを獲った。それだけ福岡のサッカーの土台がしっかりしている証拠。
チームのためにハードワークができるかどうか。そこを選手たちが理解しているからこそ、誰が試合に出ても労を惜しまず走ることができる。
しかも、選手のほとんどがJ1でくすぶっていた選手やJ2でプレーしていた選手。ゴールを決めた前寛之や宮大樹も、複数のクラブを渡り歩き、福岡で華が咲いた。それは長谷部監督の手腕の高さとしかいいようがない。
これからは、福岡でプレーしたいという選手が増えるだろう。守備は安定してるだけに、攻撃に破壊力が増せば、J1でも優勝を争えるチームの成長する可能性は十分ある。それを証明した優勝だったのではないか。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。
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