スポーツ

大阪観光局が表明「F1誘致」に立ちはだかる「市街地コースの危険」と「鈴鹿サーキット」

 大阪観光局は1月23日、驚きの発表を行った。なんとモータースポーツの最高峰「F1」の誘致を計画しているという。

 溝畑宏理事長によると、観光やモータースポーツに詳しい有識者を集めて検討組織を立ち上げ、公ではなく民間で運営することでF1の開催を目指すという。いつ開催をするのか、どこで行うのかなど具体的な計画はこれからだが、できるだけ早く開催したいとした。溝畑理事長は「死力を尽くせば絶対に実現する。やれると確信している」と自信をのぞかせた。

 これまでにも横浜市がF1開催を計画したことがあり、市街地を使ったコース図までできていたが立ち消えになっている。大阪市も大阪万博の跡地を使ったF1開催計画が持ち上がったが、予算の問題で断念している。それだけに今回も…と思ってしまうが、やはり問題は山積みだとモータージャーナリストは指摘する。

「F1は基本的に『1カ国で1開催』というルールがあります。2024年はイタリアとアメリカで2回開催されますが、これは例外。もし大阪でF1を開くのであれば、鈴鹿サーキットが開催を止めなけらばならない。鈴鹿サーキットの開催契約は今年いっぱいですが、ホンダが26年からアストンマーティンと組んでF1に復帰することを考えると、鈴鹿が手放すとは思えません。日本で2開催の可能性を考えても、F1は今年24戦も行われ、ドライバーやチームから多すぎると批判されている状況。やはり難しいでしょうね」

 さらにコースも懸念材料だ。大阪観光局はサーキットを使うのか市街地コースで行うのか検討段階だというが、

「大阪のサーキットといえば『スポーツランド生駒』があるものの、規模が小さいので開催はできません。もしサーキットで行うのであれば新たに作ることになりますが、そうなれば時間もお金もかかる。市街地コースもF1側の事情があって難しいでしょう。F1は人気の裾野を広げるためこれまで開催されたことがない国や都市でレースを行うよう戦略をとっていますが、そういった国はサーキットがないので市街地コースになっています。今年であればサウジアラビア、マイアミ、モナコ、アゼルバイジャン、シンガポール、ラスベガスと6つも市街地コースがある。しかしコースアウトした際のラン・オフ・エリア(退避スペース)がないので、ドライバーから増やさないでほしいという要望が上がっています」(前出・モータージャーナリスト)

 大阪の街を疾走するF1マシンは見てみたいが、ファンは必ずしも大阪開催に賛成ではない。

「先ほど話したように、大阪で開催されるということは鈴鹿では行われないことになりますからね。F1ファンは、大阪より鈴鹿での開催を見たい。鈴鹿は多くのドライバーと世界中のファンが絶賛するコース。7度のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンも、毎年鈴鹿での走りを楽しみにしていると発言しています」(前出・モータージャーナリスト)

 お金の問題は民間にすることでクリアしようということのようだが、大阪での開催にはそれ以外にもっと厄介な問題が横たわっている。これらのハードルを乗り越え実現させることができるだろうか。

(鈴木誠)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
「京都崩壊」の信じがたい現実…外国人観光客専用都市に激変した「不気味な風景」
2
商品価値が落ちたヤクルト・村上宗隆「メジャー計画変更」で大谷翔平と同じ道を
3
山尾志桜里の「公認取り消し」騒動を起こした玉木雄一郎は「榛葉幹事長人気に焦った」って!?
4
土壌ラドン濃度・衛星観測・上空発光…火山噴火と大地震「前兆キャッチ」の新技術がスゴイ!
5
「絶対にやめろ」に大反発!トルシエ元日本代表監督が初めて明かした日本サッカー協会とのバトル