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記事全文を読む→医師・帯津良一の健康放談「あらゆる治療法に“絶対”はないのです」(2)
当時、東西医学を合わせることは「中西医結合」と呼ばれていました。これを旗印にして、ガン治療を始めました。
病院設立から3~4年、ホリスティック医学という方法が日本に広まり始めました。60年代頃からアメリカ西海岸を中心に、局所を診ることだけに集中した西洋医学に対する批判や反省から興った新たな医学です。
その医学をひと言で言うならば、人間を「まるごと」診る医学と言っていいでしょう。健康な状態、病気の状態に関係なく、人間の「からだ」は、常に全体的に捉える必要があります。
「からだ」とは、肉体・精神・心・霊魂の総体であり、人間そのものを指します。「健康」や健康破綻としての「病気」について考えることは、人間について考えるということなのです。人間の生を「いのちの営み」として見つめ、生老病死までをも診る。それがホリスティック医学です。
いわゆる総合医学や統合医学とは、ただいろんな治療法を集めるだけで、戦略化するところがあまりありません。腎臓が悪ければそのお薬を、心臓が悪ければ同時に手術を、薬を飲みすぎると胃が荒れるので今度は胃薬を──結果、患者さんは薬漬け、治療漬けとなります。それは、ただ「病」というステージにおける方法論なのです。
ホリスティック医学は一つの方法論ではありません。病巣に働きかける西洋医学と心に働きかける心理療法、患者さんの人生観や死生観。命に働きかけるさまざまな代替療法、中国医学、ホメオパシー‥‥それらを患者さんごとに組み合わせて戦略を作って行います。体型に合ったオーダーメイド服のように、まさに「個性的」な戦略を提供していくわけです。
医者と患者さんは戦友のように一緒に治療を続けます。生き方に寄り添う医療で、今までの「医療」という概念ではおさまらない医療なのです。
アメリカのアリゾナ大学医学校で、西洋・東洋・伝統医学を使った統合医学を実践したA・ワイルという博士がいます。「人はなぜ治るのか」(83年、日本教文社)という名著の中で博士はいろいろな治療法を調べ、研究し体験したが、「どれがいいのか悪いのか当惑するばかりだ」と述べています。どんな治療法にも可能性は秘められています。だから、彼はこう言います。
「絶対に効かない治療法はない」
しかし彼はこうも言います。
「絶対に効くという治療法もない」
この2つの言葉に私は同感します。いかに優れた医者がこれは最高だという方法で治療しても、そこに「絶対」はありません。
この話は病気や健康だけではなくビジネスや、恋愛、子育て、人づきあいにも当てはまるものだと、私は思います。
私の目指す医学も「絶対」はなく、いまだ道半ばです。生きているうちに完成させるのは無理だと思っています。私が諦めますか? 答えはノーです。新たな医学を次の時代に送ることができると思うと「生き生き」としてくるのです。
◆プロフィール 帯津良一(おびつ・りょういち) 医学博士。東大医学部卒、同大医学部第三外科、都立駒込病院外科医長などを経て、帯津三敬病院を設立。医の東西融合という新機軸をもとに治療に当たる。「人間」の総合医療である「ホリスティック医学」の第一人者。
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