社会
Posted on 2015年02月21日 17:55

医師・帯津良一の健康放談「足腰を鍛える運動は“てきと~”でいいのです」(2)

2015年02月21日 17:55

20150226v2nd

 健康診断の結果に振り回されずに生き生きと生き、自分が健康であると実感するために、足腰だけは鍛えておきましょう。

 最近は90歳でもかくしゃくとしている人が増えてきています。それでも彼らは一様に、「足腰が弱りましたなぁ」と言います。ボケてもいないし食欲もあるのですが、何もしなければ足腰だけは弱っていくのです。

 確かに、足腰が弱ると年を重ねてからの活動範囲が狭くなります。自分の足で居酒屋に行くことができず、人におんぶされて行ったのでは、お酒だってうまくありません。やはり、足腰は鍛えておかないといけません。

 足腰を鍛えるために私は、電車のホームへ行く際の階段は自分の足で上り下りするようにしています。あまりにも段数が多い時はエスカレーターに乗る場合もありますが、自分の脚を使った移動が基本です。

 定年退職後は通勤電車に乗ることもなくなり、体を動かす機会が減少しがちですが、日常生活の中に「歩く習慣」だけは取り入れるようにしましょう。

 ただし、無理はいけません。私が患者さんに歩く習慣を取り入れる指導をする時は、永井荷風の随筆「日和下駄」のような散策の方法をお勧めしています。

 作品の中で荷風は、雨が降った時のことを想定して傘を携え、ゲタを履いて都内をぶらぶらと歩き回るんですね。しかも、かなりの長距離を。ただ歩き回るのではなく、最後になじみの食堂へ入り、カツ丼で日本酒を呑む。荷風にとっては「カツ丼」と「日本酒」があるからこそ、歩き回ることに価値が生まれるわけです。

 最後に自分の“お楽しみ”を用意しておけば、歩き回ることが苦ではなくなり、歩いている最中も楽しくなる。義務として歩くのではなく、楽しみを持つようにすれば、運動が苦痛ではなくなるということが、この散策方法を勧めている理由です。

 ちなみに、私は本屋が好きで、1~2時間過ごすこともざらにあります。ただ階段を上り下りして本を物色し購入するだけですが、結果としては結構な運動量になっています。つまり、運動のために散歩をしようとすると、しだいに散歩をすること自体が苦痛になってきますが、楽しみのために歩くことを取り入れると、自然と継続することが可能になるということです。

 ガンの予防や治療にも適度な運動が必要だということは、世界中で言われていることです。この「適度」の度合いは、本人にしか把握できません。そう聞くと「適度とはどんな量」かと悩むかもしれません。しかし、「適当」あるいはもっと砕けて「てきと~」と考えてみるとどうでしょう?

 何キロ歩けと決められているわけではないのですから、毎日運動量が異なっていてもいいのです。昨日は歩きすぎたなら、翌日は少なくすればいい。学生の部活ではありませんから、運動することが嫌になるほど鍛える必要はありません。鍛えるのではなく、「楽しく動く」を目安に始めてみてください。

◆プロフィール 帯津良一(おびつ・りょういち) 医学博士。東大医学部卒、同大医学部第三外科、都立駒込病院外科医長などを経て、帯津三敬病院を設立。医の東西融合という新機軸をもとに治療に当たる。「人間」の総合医療である「ホリスティック医学」の第一人者。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2013年11月26日 10:00

    11月8日、歌手・島倉千代子(享年75)が肝臓ガンで死去した。島倉といえば、演歌の王道を歩むように、その生き様は苦労の連続だった。中でも、莫大な借金返済で味わった地獄は理不尽極まりなかったようで──。島倉は、男を信じて手形の保証人となったせ...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年04月28日 16:30

    バナナマンの日村勇紀が当面の間休養に専念すると、所属事務所ホリプロコムの公式サイトで発表した。今年に入ってから体調を崩すことが多く、医療機関を受診した結果、休養が必要との判断に至ったのだという。「心身の回復を第一に、コンディションを整えなが...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    スポーツ
    2026年05月07日 06:30

    ゴールデンウィークが明けても再起の見通しが立たず、長すぎる空白期間を過ごしているのは、左内腹斜筋肉離れでリハビリ中のヤクルト・山田哲人内野手である。沖縄・浦添キャンプのシートノック中に脇腹の張りを訴え、戦線離脱。5月になっても打撃のひねり動...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/5/12発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク