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記事全文を読む→【奇跡の復活】「脊髄梗塞」ひろみちお兄さんを救った「神治療」と「骨の髄まで響く壮絶リハビリ」
奇跡の復活劇だ。
今年6月、飛行機で移動中に脊髄梗塞を発症、闘病中だったNHK Eテレの幼児番組「おかあさんといっしょ」の10代目「たいそうのおにいさん」佐藤弘道さんが8月20日夜、所属する太田プロダクションの公式Xで退院報告をした。
1分18秒の動画に、ひろみちお兄さんは歩いて登場。
「世にもまれな病気にかかり、2カ月間入院しましたが、奇跡的に歩けるようになりました」
杖や手すりを使わず、立ったまま挨拶をした。ひろみちお兄さんを襲った「脊髄梗塞」は、脳梗塞患者の100人に1人が発症する脳血管障害のひとつ。背骨の中(脊柱管)を走る脊髄周辺の血管が詰まって、麻痺や感覚障害を引き起こす。
脳梗塞が高齢者に多いのに対し、脊髄梗塞は健診で高コレステロール血症や動脈硬化を指摘された40代と50代に多く、推定新規患者数は年2000人程度といわれる。
〈今は全く歩けません〉という絶望の病状報告からわずか2カ月。ひろみちお兄さんが歩けるようになったのは「神治療」と本人の執念のリハビリ治療の成果と言えるだろう。
ひろみちお兄さんが受けたと推測されるのが、脳梗塞の早期治療で取り入れられている「血栓溶解療法(tPA)」だ。脊髄梗塞より頻度の高い脳梗塞の場合、発症してから4時間半以内に、血管を詰まらせている血栓を溶かす薬剤を注入する治療を開始し、血流を復活させれば神経細胞へのダメージを最小限に抑えることができる。血栓を溶かす薬剤で出血を引き起こすことがあるため、高齢者や持病のある人はこの治療を受けられない。脳梗塞のtPA治療の成功率は30%程度。1時間以内に治療を開始した患者の方が、治療成績は良いとされる。
それでも、ひろみちお兄さん本人が、
「下半身の麻痺やしびれが残り、失ってしまった機能もあるため、一般の方々のような歩き方はできません。次のステップに向けて通院リハビリ、および自宅リハビリは続きます」
と語っているように、足が元通りになることはない。再び歩けるようになるには、麻痺や痺れで力が入らない足の代わりに体幹や股関節周りの筋肉を鍛えて、歩行機能を回復させる必要がある。
腹筋と背筋、骨盤内のインナーマッスルを鍛えて骨盤と背骨を真っ直ぐに維持できないと、前に倒れ込んでしまう。麻痺した2本の足ではなく、背骨と骨盤だけで全身の体重を支えるようなイメージだ。理学療法士によれば、
「脊髄梗塞の発症からわずか2カ月で1分以上も立ち続けられるようになったひろみちお兄さんを見て、どれだけキツいリハビリをしたのだろうかと思って、泣いてしまいました。足に不快な痺れが残っているところに、息もできないような、骨の髄まで響く辛いリハビリを、少なくとも1日2回以上はされたことでしょう」
6月14日付の本サイト記事でも書いたが、医学博士の肩書きを持ち、名城大学薬学部の特任教授でもあるひろみちお兄さんは、本人が「麻痺の残る体」で公衆の面前に出ることを厭わなければ、講演会活動や高齢者や患者向けのリハビリ体操など、新たな芸能活動の可能性が広がっている。どうか健康状態に無理のない範囲で、同じ病気に苦しむ人達を勇気づけてほしい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)
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