日本ハムがソフトバンクに敵地で3連勝した。3戦目となった5月1日には、かつてのチームメイト上沢直之と対峙し、万波中正が本塁打を浴びせるなどして撃破。選手たちの好調ぶりに、新庄剛志監督の口調はいつも以上に滑らかだった。
試合後の囲み取材では上沢について、
「真っすぐが多かったですね。ファイターズの時には全くしてなかったクイック。ビックリするくらいしてたから(笑)」
皮肉たっぷりにそう話す。「真っすぐが多かった」の分析は、裏を返せば「相変わらず変化球で揺さぶる工夫が足りない」という苦言にもとれる。
自軍については、7回5安打2失点の好投を見せた先発の古林睿煬を、手放しで絶賛。
「いい子やから、性格も。勝って成長していくと思うから、楽しみで仕方ない」
打ち崩した上沢は日本ハムからメジャー移籍したものの、全く通用せず、わずか1年で日本球界に出戻り。しかも古巣ではなく、ソフトバンク入りを選択した。新庄監督のコメントを、上沢はどう感じたのだろう。
奇しくもこの日、上沢は日本での出場選手登録日数が8年に達し、国内FA権を取得。今さらタラレバを言っても仕方がないが、日本復帰時に古巣に恩義を見せていれば、仮に来季ソフトバンクにFA移籍したとしても、ファンは快く送り出したことだろう。
今季のソフトバンクはケガ人が続出し、防御率3.10はリーグ最低。まさかの最下位に沈んでいる。
ルール上は何の問題もないとはいえ、わずか1年の違いで大きな十字架を背負ってしまった上沢。新庄監督も内心では「なぜたった1年を我慢できなかったのか」と思っていたのではないか。
(ケン高田)