近ごろ「アッコにおまかせ!」(TBS系)に「異変」が生じている。どうやら芸能ニュースを避ける傾向にあるのだというのだ。
前半30分から最大40分は芸能ニュースに割いていたが、6月15日は全くなかった。まずは梅雨入りのニュースから入ると、世界でただ1人という「傘ソムリエ」が厳選した傘や、牛丼チェーン「松屋」の雨の日サービス、さらになかなか外出しづらい時期に室内で家族で盛り上がれるゲームが紹介された。
この後も父の日に欲しいプレゼントについて盛り上がったり、6月はジューンブライドと呼ばれるようになった由来や月別の挙式件数の解説が。スタジオに吉本芸人がいるからであろう、吉本が始めた「好きな芸人から結婚式や誕生日会のメッセージがもらえるサービス」が取り上げられた。
給食で唐揚げ1個しか出なかったという福岡県の小学校のニュース、Z世代が選ぶ好きな給食メニュートップ10、第2回「日本ロケ弁大賞」など、いたって平和なトピックスばかりだった。
その前週は、長嶋茂雄さん死去や、コンビニでの「古古古米」販売は社会的な関心事ではあったものの、壁画制作を手がける会社の建物に小泉進次郎農水大臣の顔が描かれたというニュースが。そして「Nintendo Switch2」の当選確率と、やはり芸能の話題は圧倒的に少なかった。
もちろんその週によって芸能関連のニュース自体があまりないことはあるが、こうした生活情報へとシフトした背景には、無自覚で無神経な軽口・失言が相次ぐ和田アキ子の「舌禍」によって、いらぬ炎上を生ませないという配慮があるだろう。
だがそれはかえって、視聴者の興味を失わせ、視聴意欲をなくしてしまいかねない。見る必要がなくなり、存在意義が見出せなくなってしまう。
番組スタートから今年で40年、ここまで方向性を変えなければならないのであれば、もういい区切りなのではないだろうか。
(田中皇治)