現在、日本とフランスで2つの「超名門クラブ」がサッカー界を騒がせている。
わが日本のお騒がせチームは、Jリーグ創設時から存在する「オリジナル10」のひとつ、横浜F・マリノスだ。
1972年に創設された日産自動車サッカー部を前身とし、1988年と1989年にはリーグ、天皇杯など主要3冠を連覇。Jリーグでは5度の優勝を誇り、近年も2022年に優勝、2023年に2位の成績を残す名門だ。オリジナル10の中では鹿島アントラーズとともに、J2降格経験がないことで知られている。
ところが今季は6月の試合を全敗で終え、順位は最下位。なんと、J2降格の危機に直面している。開幕から苦戦が続き、11試合で1勝しかできず。招聘した前イングランド代表ヘッドコーチのホーランド監督を解任した。その後、昇格したキスノーボ監督も状況を打開できず、6月19日に解任されている。
現在は大島秀夫ヘッドコーチが暫定監督となっているものの、1シーズンで2度の監督交代はどう考えても異常事態。そこには様々な原因があるのだが、最も大きいのは親会社である日産自動車の経営不振だという。
「チーム強化に金をかけられなくなっています。昨シーズン終了時には規模縮小のために10人以上の選手を放出し、代わりの補強はうまくいかなかった。今回の監督交代でも、昨季にJ2鳥栖で指揮を執った川井健太氏と交渉していたものの、川井氏が希望するコーチ人事に資金を割けず、破談になっています」(Jリーグ関係者)
一方、フランスのリーグ・アンでパリ・サンジェルマンやマルセイユと人気を分けるリヨンの場合は、すでにフランス・サッカー経営管理総局により、降格処分が決定した。
2000年代にリーグ7連覇するなど、黄金時代を誇ったリヨン。近年こそ優勝はないが、リーグ上位から中位をキープする堅実な古豪として知られていた。いったい何が起きているのか。サッカージャーナリストが解説する。
「昨年11月に約850億円の負債が発覚。財政状況を改善しなければ、シーズン終了後に2部降格すると通達されていたのです。その結果、1988年以来の2部降格処分が下されましたが、リヨン側は決定を不服として控訴予定です。覆らなければ、入れ替え戦で敗退した日本代表の伊東純也や中村敬斗が所属するスタッド・ランスが再度、1部でプレーすることになります」
日仏を代表する人気クラブが直面する資金問題。来期も1部に残留できるのか。それは「カネ次第」ということになりそうだ。