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Posted on 2025年07月25日 08:45

「黒ネコのタンゴ」皆川おさむ病死で分析してみた「ほかとは違う黒ネコだけの特質」活発・口元・理解力・運動能力

2025年07月25日 08:45

「キミはかわいい 僕の黒ネコ…」で始まる「黒ネコのタンゴ」は、56年前に大ヒットした歌だ。累積売り上げは223万5000枚。中高年なら誰でも口ずさむことができるはずだが、はたして今の子供たちはどうか。童謡などが教科書から消え、子供たちが歌わなくなっているというから、大ヒットした「黒ネコのタンゴ」も同様かもしれない。

「黒ネコのタンゴ」を歌った皆川おさむさんが慢性腎不全のため、亡くなった(享年62)。彼は「ひばり児童合唱団」の出身だ。ひばりと聞くと、美空ひばりとつながりがあると思う人がいるだろうが、たまたま「ひばり」と名前がついているだけ。皆川さんの伯母・皆川和子さんが創設した合唱団で、出身者の有名人は由紀さおりと姉の安田祥子、合唱団に通っていた人としては吉永小百合らがいる。

「黒ネコのタンゴ」はもともと、イタリアの童謡だ。少女が動物園のキリンなどはいらないから黒ネコが欲しいと言ったら、くれたのは白ネコだったという歌詞だそうで、それを見尾田みずほが歌詞を書き、「黒ネコのタンゴ」としてカバー。発売したらとんでもない大ヒットになった。

 実は黒猫のことをそのうち書こうかなと思っていたところだった。書きたいと思ったのは、実は我が家で飼っている黒猫が、あまりに面白いから。とにかく素っ頓狂で活発、飼い主への愛着が偏執狂的で、性格も変わっている。

 夏目漱石の「吾輩は猫である」から「そうせき」と名前をつけたが、理由は「吾輩」が黒猫だったからというもの。だが、先に断っておくと、これは間違いのようだ。改めて確認してみると、「吾輩は波斯産(ペルシャ)の猫の如く黄を含める淡灰色の漆の如き斑(ふ)入りの皮膚をしている」(新潮文庫)とあるから、黒猫ではない。

 もっとも、小説に黒猫は登場する。裏に住む大きくて乱暴な猫が黒猫とある。そうせきのヤンチャすぎる性格は「吾輩」ではなく、この黒猫譲りとするしかなさそうだ。

 ちなみに、ニックネームもつけていて、漱石絡みの「坊っちゃん」。なので、普段は「坊っちゃん」と呼んでいる。そうせきはおそれ多いことに、かの大文豪と切っても切れない猫なのだ。

 黒猫はSNSなどでも写真、動画が溢れている。黒猫の動画をよく見るので、AIが勝手に黒猫を選び出し、流れてくるのかもしれないが、黒猫以外と比べて明らかに多い。とりわけ黒猫の親猫と、ありんこのように数匹の子猫が群れている画像、動画が目につく。黒猫は黒猫の子供だけ産む、それも多産ということなのか。

 黒猫はそれ以外の猫より「元気」という要素が色濃い。とにかく活発なのだ。それから共通しているのが口元。他の猫に比べると、口元を窄(すぼ)めて、ちんまりとさせている。その印象がどの黒猫も一緒で、画像を見ながら「そうせきとそっくり」と思ってしまうのだ。おそらく黒猫だけは他の種とは違い、DNAだとかそういう何かが一緒なのではないだろうか。

 物事の理解力が優れていて、頭がいいという点も特筆すべきだろう。これは大阪府堺市で保護猫活動をしている小児科の林かおる医師と意見が一致した。

 そうせきに限っていえば、わが家の他の2匹と比べて、運動能力が優れている。逃げ足が早い猫はいるが、それはいわゆる猫らしい逃げ足であって、そうせきの動きはたとえるならば、陸上の100メートルを走るような選手、という印象がある。とりわけ階段を駆け下りる時の素早さといったら。何段もビヨーンと一気に通り抜ける。その間、わずか1秒くらいか。階段を踏み外さない動体視力もすごい。

 遊ぶことにも熱心で、今は気に入っている猫じゃらしを持って来て、「遊んでくれコール」が続いたりする。

 黒猫を飼っている他の人に、黒猫はどんな感じなのか、その生態を尋ねてみたい。そんな活発な性格なのに、飼い主以外には警戒心の塊で、来客があったりすると「幻の猫」と化すからおかしい。ただ、同じ人が何度か来ているうちに、ちょっとずつ警戒心を解くのか、階段の上で聞き耳を立てていたりするから、思わず笑みがこぼれる。

「黒ネコのタンゴ」の歌詞の出だし部分は「赤いリボンが よく似合うよ」と続く。今度、そうせきのために赤いリボンを買ってみようかと思っている。

(峯田淳/コラムニスト)

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