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記事全文を読む→日航ジャンボ機墜落事故「陰謀論」の正体!(3)筋金入り活動家の主張を書籍化

当時、太平洋戦争中だけに、2人は日本の戦闘機や輸送機に強い憧れを持ち、意気投合して航空機のニュースに夢中になった。仲良しだった。しかし後年、日本航空社内で航空エンジニアの頂点に立つ取締役とストライキを繰り返す労組トップという真逆の立場となる。
松尾氏が小倉氏の存在を知って連絡を取ったのは、墜落事故の起きる2年前、松尾氏が取締役になったころだった。
小倉氏の方はかなり前から松尾氏の存在を知っていたが、「迷惑をかけるから」と敢えて連絡はしなかったという。2人はおよそ半世紀ぶりの再会を祝し、日航社内に湘南中同窓会を作って旧交を温めた。だが、前述したように2人の立場は大きく異なっていた。
そして墜落事故が起き、松尾氏が何度も「ボーイング社の修理ミスによる後部圧力隔壁の金属疲労が、墜落事故の原因だ」と説明しても小倉氏は「自衛隊機、あるいは米軍機によるミサイルの誤射が原因だ」と主張して譲ることはなかった。
反自衛隊感情、反米志向が普通の時代だった。小倉氏の主張が日航社内で当然の事実のように語られ、その後しばらくして書籍化が進み、陰謀論・撃墜説となっていく。いまはセンセーショナルな話題ほど拡散されるSNS(交流サイト)で広まっている。振り返ると、陰謀論・撃墜説のルーツ、正体は40年前の小倉氏の主張なのである。
松尾氏は「戦後、国鉄の労組が大規模なストライキを敢行した。活動家たちは国鉄の次に日本航空に狙いを付けた。その先頭に立ったのが小倉君だった。小倉君は日航で乗員組合と客室乗員組合を組織化してストライキを繰り返し、経営に大きな打撃を与えた」と語り、「小倉君は筋金入りの活動家になっていた。現在、陰謀論・撃墜説を固持し、書籍にするなどして主張しているのは、かつて小倉君のもとで活動していた人たちだ」と説明する。
陰謀論・撃墜説は非科学的でエビデンスに欠け、いたずらに他人の好奇心を刺激し、遺族を苦しめる。陰謀論・撃墜説を主張する人々は、こうした点をどこまで理解しているのか。社会的責任をどう考えているのだろうか。
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「日航・松尾ファイル」は著者の木村良一氏が、日航社内で墜落事故の調査を担当した最高責任者の元日航取締役・松尾芳郎氏からファイルを託されて取材を重ね、24年6月30日に出版された。「日本航空はジャンボ機墜落事故の加害者なのか」がサブタイトル。なぜ松尾氏は書類送検されたのか。どうして警察・検察は刑事立件にこだわったのか。事故調の調査は的確だったのか。日米関係がどう影響したのか。ボーイング社が修理ミスを犯した理由は何か。こうした疑問を解き明かしながら、航空史上最悪の墜落事故の真相に迫っている。
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木村良一(きむら・りょういち)ジャーナリスト・作家。1956年生まれ。慶大卒。日本記者クラブ会員。日本医学ジャーナリスト協会理事。日本臓器移植ネットワーク倫理委員会委員。元産経新聞論説委員。元慶大非常勤講師。ファルマシア医学記事賞(2002年)やファイザー医学記事賞(2006年)を受賞。著書に「移植医療を築いた二人の男」「パンデミック・フルー襲来」「新型コロナウイルス」などもある。
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