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記事全文を読む→「カニバリズム=人肉食」のタブーを破った皇族「葦原王」酒席の口論で殺した相手を切り刻んで調味料を…
人間のタブーのひとつに「カニバリズム」がある。これは人間が人間の肉を食う行為や習慣のことであり、日本では作家の佐川一政氏の例がある。1981年、留学先のパリでオランダ人留学生の女性を殺害し、その肉を食べたとされる「パリ人肉事件」がセンセーショナルに報じられた。
ところがかつて、やんごとなき貴人でこのタブーを犯したとされる人物がいる。それが葦原王だ。葦原王は天武天皇の孫である山前王の子で、勅撰史書「続日本紀」によると、生まれつき凶暴な性格だったらしい。
大の酒好きで、しかも酒乱。いつの世も、この手の人間はいるものだ。皇族の一員だったにもかかわらず、飲み屋に入り浸り、酔っては大暴れしていた。そんな葦原王が大問題を引き起こすのは、時間の問題だった。
天平宝字(761年)、御史麻呂と飲んでいた時のことだ。葦原王は些細なことで突然、ブチ切れる。談笑していた、あるいはサイコロを使った博打をしていた、との説がある。とにかく口論になった。そして懐中から短剣を取り出し、刺殺してしまったのだ。
現代もこのようなトラブルでの殺人事件はよく報じられるが、ここからが常軌を逸していた。遺体から股の肉を削ぎ落として切り刻み、調味料をつけて食ってしまったという。ユッケじゃあるまいし。御史麻呂の悲鳴を聞いた人々が駆けつけ、葦原王は取り押さえられたが、さらなる問題はその後に待っていた。
普通ならば、当時でも殺人犯は死刑と相場が決まっているが、この猟奇殺人事件の犯人は、やんごとなき人物である。朝廷では当然、その処分に苦慮した。さすがに極刑に処するわけにはいかず、かといって無罪放免とするわけにもいかない。しかも、数々の余罪があった。なんらかの形で都にいれば、また同じような事件を起こす可能性がある。
そこで淳仁天皇が下した処分は、罪一等を減じて皇籍を剥奪しての、種子島への遠島だった。皇籍を剥奪されたため葦原王ではなくなり、竜田真人という姓を与えられると、子女6人とともに種子島に送られたという。その後の消息は分かっていない。
(道嶋慶)
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