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記事全文を読む→前駐豪大使・山上信吾が日本外交の舞台裏を抉る!~イチローのスピーチの「凄み」~
またしてもイチローには舌を巻いた。WBCでのプレーぶりではない。米国野球殿堂入り表彰式でのスピーチだ。
40年間の外交官人生で数々のスピーチの現場に居合わせ、自らも苦心惨憺しながら取り組んできた身からすれば、日本人が出来る英語スピーチの最高レベルに達していたと言って過言ではなかろう。
どういうことか?
まず、姿勢が良かった。背筋を伸ばして堂々と構え、日本人によくありがちな小心翼々としたところが全くなかった。テレプロンプターをうまく活用したのだろう。俯いて原稿ばかりを追いがちな政治家とは段違いだった。
また、発声もテンポも良かった。帰国子女でない日本人の場合、どうしてもネイティブが聞き取りにくい発音が出てしまう。はっきり、ゆっくり話すことによって、聞き取りやすい音声になっていた。
何よりも、スピーチの内容が洗練されていて高水準だった。夢(ドリーム)と目標(ゴール)とを対比させ、その違いを説明。そして目標を達成するためには何が必要かを考えなければいけないと強調。「プロとして最高峰の場でプレーをしたい」という明確な目標を持ち、その目標に向かって具体的な努力を重ねたからこそ、野球殿堂入りという「夢」が適ったとスピーチを締めくくった。見事なエンディングだった。
欧米人を相手にしたスピーチで必須のジョーク、ユーモアも、ふんだんに散りばめた。自身をオリックス時代、マリナーズ時代に次ぐ三度目のルーキーとしつつ、「ルーキー恒例の仮装行事は勘弁してください」(So, easy on the hazing.)と始めたくだりなど、爆笑を呼んだ。
笑いを取った後は涙。同席した弓子夫人の労をねぎらい、「最も安定したチームメート」と讃えた。そして、引退後に二人で現役時代には絶対にできないことをしたとして、スタジアムでホットドッグを食べながらマリナーズの試合観戦をしたと紹介。アメリカ人の心の琴線に触れる「一本」だった。
また、野茂英雄選手の貢献に言及し、「彼の成功は多くの人を触発し、自分もその一人だった」と吐露。日本語で「野茂さん、ありがとうございました」と進めた。映画のような見事な展開だった。
同時に私が注目したのは、笑いと涙を誘うフレーズが続出する中、ところどころに「棘」も盛り込んだ妙味だった。ひとつは、イチローの野球殿堂入りに賛成票を投じなかった僅か一名の記者に関連して、「一緒にディナーをしましょうとして自分の自宅に招待した件は、もう時間切れだ」と言い放った点。
もうひとつは、自分のメジャーリーグ入りに当たっては色々とネガティブな意見があったと想起し、「ある人からは、『国に恥をかかせるな』と言われた」と外交的な表現で告白した点。ここでいう「国」は日本という解釈も可能であれば、米国という解釈も可能だ。渡米後しばらくは「日本に帰れ」と言われていたという逸話に着目すれば、そうした意地悪な大リーガーの評価にリベンジしたとも受け取れる。
これ程のスピーチは、並みの日本人には到底できない。
昨年の米国議会での岸田文雄総理大臣(当時)の演説がアメリカをヨイショするだけに終わり、苦言はおろか注文の一つさえ言えなかったことと好対照だ。
だから、イチローのスピーチは秀逸なのだ。
何故アスリートがここまでできるのに、政治家や外交官はできないのか?そうした問題意識を込めて、同志社大学での英語スピーチ講座でも取り上げた次第だ。
●プロフィール
やまがみ・しんご 前駐オーストラリア特命全権大使。1961・年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、84年・外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、ワシントン、香港、ジュネーブで在勤。北米二課長、条約課長の後、2007年・茨城県警本部警務部長を経て、09年・在英国日本国大使館政務担当公使、日本国際問題研究所所長代行、17年・国際情報統括官、経済局長を歴任。20年・駐豪大使に就任。23年末に退官。同志社大学特別客員教授等を務めつつ、外交評論家として活動中。著書に「中国『戦狼外交』と闘う」「日本外交の劣化:再生への道」(いずれも文藝春秋社)、「国家衰退を招いた日本外交の闇」(徳間書店)、「媚中 その驚愕の『真実』」(ワック)、「官民軍インテリジェンス」(ワニブックス)等がある。
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