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記事全文を読む→佐藤誠「取調室の裏側」〈伝説の落とし屋と呼ばれた男が許せなかった「警察組織」の腐敗〉
初めに伝えておくと、俺の刑事としての経歴は特殊だ。警視庁の精鋭が集まり、花形と呼ばれる捜査一課に18年間在籍し、「取調官」一筋で退官した。
そのきっかけは、03年に小平署の強行犯捜査係にいた時、元恋人に復縁を迫られた女性がコンビニに逃げ込み、追いかけられて店内で刺殺された事件だ。小平署に捜査一課の刑事がやってきたが、他の事件で取調官が不在のため、俺の上司が普段の調べや調書を評価し、「佐藤を使ってくれ」と指名してくれた。
殺しの調べは未経験だったが、犯人の男は調べに素直に応じてくれた。おかげで苦労はせず、管理官や一課の係長が褒めてくれたのは、ストーカーをしていた男が被害者の車に乗り込んだ場面をこう記したこと。
「非常に女のいい匂いがした」
俺の調書の特徴でもある細かいディテールを入れたことで、リアリティが伝わったのだ。そして、その一文が特殊な「サツイチ刑事」の幕開けになった。
翌04年3月に一本釣りされて、警視庁捜査一課の特別捜査第二係に配属。驚くべきことに数百人いる一課の刑事の中で限られた者しか担当できない取調官にいきなり抜擢された。
それ以来、5年もいれば異動する捜査一課で、18年間も凶悪犯と向き合うなんて、後にも先にもこんな刑事は出てこないだろう。
22年に退官していた俺の名前が世間に知られたのは、23年に「週刊文春」で報じられた「木原事件」だ。
06年4月10日未明、東京都文京区の住宅で安田種雄さん(享年28)が亡くなっていたところを発見された。管轄の大塚署が捜査にあたり、「覚醒剤乱用による自殺」と判断。しかし、未解決事件として扱われていたことで、18 年に冬眠していた事件は再捜査が行われ、俺も捜査に加わった。
合同捜査チームが組まれたが、状況は一変する。種雄さんの妻で事件当時に自宅にいたX子さんは、自民党衆議院議員・木原誠二氏(55)と再婚していたのだ。
岸田文雄前総理(68)の右腕が関わっていることで、取調べは難航する。そして18年10月に突如、捜査の中止を命じられた。
再捜査は文春のキャンペーンで明るみに出ると、露木康浩警察庁長官(当時)と、殺人事件のプロである警視庁捜査一課の国府田剛課長(当時)は、
「証拠上、事件性は認めらない」
と、コメントを残した。事件性の有無の判断は検察の役割なのに、何を勝手な御託を並べているのか。遺族の思いを踏みにじった態度に頭にきた俺は、「週刊文春」(23年8月3日号)で実名で糾弾。記者会見まで開き、時の人になった。
「週刊文春」も取り扱わなかった木原事件の闇や腐敗した警察の構造は、第2回以降で伝えてさせていただく。不都合な事件の「裏側」に切り込むので、楽しみにしてほしい。
佐藤誠(さとう・まこと)警視庁捜査一課殺人犯捜査第一係、通称「サツイチ」の元取調官。1983年、警視庁入庁。2004年に捜査一課に配属。『伝説の落とし屋』と呼ばれる。「木原事件」で木原誠二氏の妻・X子さんの取調べを担当。2022年に退官。
佐藤誠の相談室
https://satomakoto.jp/
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