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記事全文を読む→ちょっと珍しい「猫イベント」で出会った短編小説集「猫町」を読んでみたら「人間の姿をした猫の大集団がうようよと」
猫にまつわるイベントはいろいろあるが、ちょっと珍しい企画が9月7日まで開かれていた。詩人の萩原朔太郎ゆかりの群馬・前橋記念館で行われた「猫町展」。朔太郎は小説をあまり書いていないが、「猫町 他十七篇」という短編集がある(清岡卓行編)。「猫町展」は刊行90周年を記念し、「猫町」からイメージされる装丁・装画を何人ものイラストレーターらが競演する企画で、展示室には「猫町」のデザインが並んでいた。
装丁・装画の企画なので、猫本は短編集の「猫町」しかない。わかりやすくいうと、ひとつの作品を元にした、いろんなイラストを見ることができる、異色の企画である。
展示室を回りながら、ひとつの短編集に関するものなのに、思い描くイメージはこんなにも異なるのかと不思議だった。デザインだから、猫を劇画風にデフォルメしたものから、猫を真ん中にシンプルに配置したものまで、まるで異なる小説の装丁・装画にしか思えなかった。
そんなイラストを見ながら、しっくりこない感じもあった。そもそも原作を読んでいないから、装丁とのマッチングが頭の中で微妙なのだ。猫本はそれこそ、古くは夏目漱石の名作「吾輩は猫である」から、現代なら村上春樹の猫の小説までたくさんあるが、「猫町」は今回、初めて知った作品。そこで改めて「猫町」という不思議なタイトルの短編を読んでみた。
読み進むうちにわかったのは、説明が難しい小説だということ。迷宮に入り込んだ「私」が幻想的な猫の風景を見た、と説明するしかない物語で、最もわかりやすいのは、岩波文庫「猫町」のブックデザインの表紙に書かれている、以下の一文だ。
〈東京から北越の温泉に出かけた「私」は、ふとしたことから、「繁華な美しい町」に足を踏み入れる。そこに突如人間の姿をした猫の大集団が……〉
これでイメージしてもらうのが一番だろう。そのクライマックスは、後半の以下の部分だ。
〈万象が急に静止し、底の知れない沈黙が横たわった。何事かわからなかった。だが次の瞬間には、何人(なんぴと)にも想像されない、世にも奇怪な、恐ろしい異変事が現象した。見れば町の街路に充満して、猫の大集団がうようよと歩いているのだ。猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりだ。そして家々の窓口からは、髭の生えた猫の顔が、額縁の中の絵のようにして、大きく浮き出して現れていた〉
デザインの肝はこの部分か。そんなふうに考えながら読み進むと、次は「ウォーソン夫人の黒猫」という短編だった。我が家で3匹飼っているうちの末弟「そうせき」は黒猫だから、こちらの方が気になった。そしてこの短編もまた、摩訶不思議な物語だった。
ウォーソン夫人は典型的な職業婦人。ある学術研究会の調査部に勤務し、朝9時に出勤して午後4時に帰宅する、規則正しい生活を送っている。住んでいるのは裏町の寂しい通りにある、一間しかない部屋。室内には装飾もなく、味気ない日々を過ごしていた。
ところがある日、帰宅するといつもと違った雰囲気で、悪寒がした。〈いつものような退屈な部屋ではなく、それよりももっと悪い、厭な陰鬱なものが隠れている〉と感じた。
その正体はタイトルから察しがつくと思うが、部屋の真ん中の床の上に、見知らぬ黒猫が入り込んでいた。〈その黒猫は大きな瞳をして、じっと夫人をみつめていた〉というのである。
部屋には鍵がかかっているので、黒猫がどこから入ってきたのかわからない。夫人は友人らを猫がいない状態で招いてみたが、それでもなぜか、黒猫が現れる。猫がいることを友人らに告げても興味を持たず、スルーして笑っている。たまりかねた夫人が、ついに暴挙に出る…。
朔太郎が描いた猫は、まるで魔物のようだ。猫はそんな想像をかき立てる生き物なのだろう。その結果として装丁・装画も、バリエーションに富んだものになっているのかもしれない。
猫の奥の深さを実感できた企画だった。
(峯田淳/コラムニスト)
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