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記事全文を読む→漫画家・弘兼憲史の男子厨房に入るべし!〈カツ丼〉超簡単!市販のトンカツに三つ葉の彩りで映えを!
「カツ丼」といえば、昔の刑事ドラマを思い出します。取調室の事情聴取でなかなか白状しない容疑者に、刑事が「カツ丼でも食べなさい」と差し出し、嚙み締めるように食べた容疑者は「私がやりました」と涙を流しながら自供する‥‥。昭和の刑事ドラマではお約束のシーンでした(笑)。
しかし、これはフィクションで実際はNGだそうです。自白を引き出すための利益誘導とみなされ、裁判では証言が採用されなくなってしまうからです。
ともあれ、「カツ丼」は日本を代表する庶民の味です。発祥にはいくつか説がありますが、早稲田大学近くの蕎麦店「三朝庵」もそのひとつ。1906(明治39)年に創業した名店です。当初、急な宴会のキャンセルで大量に余ってしまったトンカツの処理に創業者が苦慮していました。そんな時、常連の学生から「卵丼みたいにしたら」との提案があり、そばつゆで煮て、卵でとじ、丼物にしたところ、大評判になったそうです。
早稲田生にとってはまさに“ソウル蕎麦屋”。僕も学生時代は、講義の後に仲間たちとよく通いました。残念ながら、店は2018年に閉店しています。
プロの料理人にはかないませんが「カツ丼」は、素人が作っても、失敗しない料理と言えます。僕も時々作ります。「弘兼流カツ丼」は超簡単です。
トンカツを自宅で揚げるのはかなり手間なので、スーパーなどで出来あいのトンカツを買います。フライパンに油を引き、スライスした玉ねぎを入れます。味付けは、醬油、水、顆粒だし、砂糖、酒、みりんを加えて、出汁(目分量)を作ります。
玉ねぎが、しんなりしたら、トンカツを加えてひと煮立ちさせ、溶き卵を入れます。卵が程よく固まったら、ご飯の上にかけて完成です。彩りに三つ葉を添えてください。丼に緑の三つ葉が映え、見た目の印象がぐっと変わります。「カツ丼」は外でも食べます。多いのはゴルフ場。プレーした後の「カツ丼」は実にうまい! ただし、最近は少し控えるようにしていて、年に5回くらいを目安にしています(なかなか守るのは難しいですが)。理由は、カロリーが高いので、食べたら確実に太ってしまうからです。
少し話はそれますが、トンカツも好きです。店ではなるべくヒレカツを注文するようにしています。脂身が少なくて軽いし、揚げ方次第では驚くほど上品な味になります。
予約必須のかなりの高級店ですが、南阿佐ヶ谷の「とんかつ成蔵」は、その代表格といえます。予約は常にいっぱいで、なかなか入れません。「とんかつ定食」は8800円。ロース、シャ豚ブリアン、ミルフィーユのとんかつ3種に、揚げ物2種類が選べます。
普通のとんかつは高温で揚げるので衣が茶色くなり、肉が縮んで衣との間に少し隙間ができる。しかし、ここでは低温でじっくり揚げるため肉がふくらみ、衣がぴったりくっつきます。最後に色づけのため、火を強めて仕上げます。この手間が、あの独特の美しさを生むんでしょう。
値段は上がっても、「カツ丼」は庶民の味。簡単に作れるのでぜひ試してください。
弘兼憲史(ひろかね・けんし)1947年、山口県生まれ。早稲田大学法学部卒。松下電器産業(現パナソニック)に勤務後、74年漫画家デビュー。以来『課長 島耕作』『黄昏流星群』などヒット作を次々生み出している。07年には紫綬褒章を受章。
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