政治
Posted on 2026年02月17日 06:45

自民党圧勝の総選挙「総括分析」失われたはずの「公明票」はどこへいったのか…東京・石原宏高と山口・岸信千世の場合

2026年02月17日 06:45

 自民党が圧勝した衆院総選挙の余韻が、いまだ日本列島を覆っている。今回の総選挙は当初、公明党が政権離脱したことで、これまで多くの自民党ボーダーライン議員の当選を支えてきた「公明票平均票1万~2万」が逃げ、自民党の30~50議席が失われるのではないか、とされた。そして新党の中道改革連合は公明票で躍進する、と。しかし結果は全くの逆だった。公明票がなくても、なぜ自民党は勝てたのか。

 公明票離れで最も厳しいと目された2つの選挙区で、その「理由」を探った。
 ひとつは石原慎太郎元都知事の三男・石原宏高環境相の選挙区、東京3区(品川区など)だ。
 前回2024年の総選挙で、石原氏は自公連立政権の中で獲得票数が約6万1600票、対する立憲民主党の阿部祐美子氏が5万4100票と迫った。
 この選挙区における公明票は、約9000前後あるとされた。それだけに公明離脱なら、単純計算で石原氏は5万2000票に減り、野党候補に競り負けると言われた。多くのメディアは「現職大臣敗北の可能性あり」としていた。
 石原陣営はさらに厳しい見方をしており「公明票1万4000が消える」と…。

 ところがフタを開けてみれば、石原氏は前回の6万1600票から大きく3万余票を上積みして圧勝。逆に中道は600票も減らした。選挙アナリストが言う。
「公明票の大半は阿部氏に行ったとみられます。それでも阿部氏の票が減ったのは、阿部氏に前回集まった無党派層票が逃げたから、とみるべき。実際、にわか作りの中道が『何をしたい党か不明だ』と話す有権者は多かったですね」
 その証拠に石原票の伸びとともに、国民民主党が4000票、参政党は1万票も伸びた。そこに高市旋風が吹いていた。

 もうひとつの選挙区は、安倍晋三元首相の甥、岸信千世氏の選挙区山口2区(山口県岩国市、周南市など)である。
 前回、岸氏は終盤、立憲民主党の平岡秀夫氏に「世襲批判」で追い上げられた。岸氏は安倍昭恵さんらの必死の応援などで、なんとか7500票差で逃げ切っている。

 この山口2区の公明票は約1万4000から2万と言われ、それがそっくり平岡氏に流れれば、平岡氏の勝利は確実と言われた。だが、ここでも岸氏が前回の10万4800票から2万7000票を伸ばし、逆に平岡氏は約2万2400票も減らした。その差は5万前後と、予想外の大差である。先の選挙アナリストによれば、
「公明票は全部ではないが、大半は平岡氏にいったとみています。それなのに平岡氏が大敗したのはやはり、無党派層が岸氏に流れたことにある。岸氏は今回の選挙戦術を微妙に変えました。つまり『私に投票すれば高市さんの力につながる』と訴え、ブームの『高市推し活選挙』に乗ったことが功を奏した。平岡氏は敗因を『高市電撃解散に負けた』と漏らしたといいます」

 自民党長老が明かす。
「自公は26年も連立を維持してきた。その間、公明の1選挙区1万から2万の票に助けられてきた。今回はその反動で自民壊滅を覚悟したけど、分裂選挙でも圧勝できた。今後は無党派層の取り込みが選挙の王道になるかもしれない。あるいは『サナエ推し活』のような、強烈なツールか。選挙の王道がドブ板と握手から大きく変わり、複雑でスピーディーになった。なかなか追いつけないよ」

 確実に言えるのは、自民党のしたたかさと、高市政権の運の強さだ。逆をいえば自民党は今後、高市政権に運がなくなった時点で、恐ろしいことになるかもしれない。

(田村建光)

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