芸能
Posted on 2026年03月21日 10:00

三又又三の「社長、前借りいいですか?」〈正論で嫌われる〉

2026年03月21日 10:00

 元気ですか〜!(猪木風)。還暦ブレイクを本気で狙っている三又又三(58)です。

 前回はイジリとイジメの違いについて書かせていただきました。イジリとはその人への愛情や信頼関係があって初めて成立するもの。相手をイジッたつもりでも、当人が笑っていなければ、それはただの悪口であって、誰も得をしない。こうした大切なことを師匠のビートたけしさんをはじめ、先輩たちに教わってきましたが、恋愛となると、そうはいきません。

 今回、僕がお伝えしたいテーマは「正論ばかり言うと嫌われる」。あれは僕が50歳の時。生涯忘れられない大恋愛をしたんです。お相手の女性は5つ年下。知り合って半年ほど経った頃、僕は告白しました。

「ちゃんと付き合ってほしい」

 すると彼女は驚くべき事実を打ち明けたのです。妻子ある男と不倫関係を続けていて、部屋の合鍵を持たせていること。さらに、そんな関係が楽でいいと言うじゃないですか。

 僕と交際するのはOKでも、その彼とは関係を持ち続けていたい様子。順序でいえば、アチラが“先客”ですから、強くは言えませんけど、「三又が二股かけられた」なんて笑い話にもならないじゃないですか。

 だから僕は交際が始まって、事あるごとに言いましたよ。

「そんな奴とは別れたほうがいい」

「あいつの優しさなんて全部ウソに決まってる」

「きっとあなたの体だけが目当てなんだよ」

 いくら説得しても、彼女はまったく別れる気がないように見えました。

 彼女は地方に住んでいて、ちょくちょく東京まで来て僕の部屋に泊まったりしていました。そんな時は決まってドライブデート。免許がない僕を助手席に乗せて、いろんなところに連れて行ってくれました。

 ある日、美術館でデートをした帰り道、彼女が高速道路を走らせている時に、「よ〜し、彼女をたっぷり笑わせてやろう」と思った僕は助手席でとっておきのトークを披露。これも恋の魔力でしょうか。ステージで話すよりも饒舌になって、彼女は大爆笑。この“車内単独ライブ”があまりに面白かったのか、

「やめて、事故っちゃうから! 本当にやめて」

 涙を流して懇願するわけですよ。その表情がかわいくて‥‥。でも、僕がダメだったのはこの後。車を停車させた彼女にこんなことを言っちゃったんです。

「ところで、あの妻子持ちの彼って、どんなことであなたを笑わせてきたの? どうせ『布団が吹っ飛んだ』くらいの低レベルのダジャレでしょ? 俺のほうが絶対に笑わせられるよ」

 恋は盲目って、よく言いますけど、その時の僕は自分を客観的に見られなくなっていました。今振り返ると、そんなことを言われたら心が離れていくに決まっていますよ。

 その後も彼女が地方から泊まりに来た時に、ついつい言ってしまうんですよ。

「あの男から合鍵は返してもらった?」

 すると彼女は表情を硬くして、

「もうその話はやめて」

 拒絶反応がどんどん強くなって、結局、彼女とは別れることになりました。妻子持ちの男に僕は負けたのです。

 不倫はよくない。これは正論です。でも人は正論だけで動かせません。正論をぶつけられて、心を閉ざしてしまうこともあるのです。

 今思うと、学校で人気のある先生は「俺も中学の頃よくやったよ。お前らの気持ちがすごくわかるよ」なんて、生徒に寄り添ってくれたものです。当時の僕も、彼女の目線に立って、しっかりと寄り添うべきだったかもしれません。正論ばかり言うと嫌われる─。心に留めておいてほしいですね。

三又又三(みまた・またぞう)株式会社TAP所属のお笑い芸人。「踊る! さんま御殿!!」(日テレ系)、「志村けんのバカ殿様」(フジ系)等数々のバラエティーに出演。2023年より不動産会社に勤務し、芸人との二刀流で活動。今夏より漫才協会に入会。

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