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Posted on 2026年03月26日 12:00

ロッテファンが全力抗議でぶっ潰した「開幕イベント」紙メガホン1万本がゴミと消えた「30年の応援文化」禁断の領域

2026年03月26日 12:00

 ファンサービスが、ファンによって潰される。プロ野球の長い歴史でも、なかなかお目にかかれない出来事が発生した。
 開幕3日目の3月29日は、ロッテの本拠地ZOZOマリンスタジアムで「SANKYUありがとうDAY」が開催される。スポンサーの山九株式会社とのコラボイベントとして、来場者先着1万人に、紙製の応援用メガホンを配布する予定だった。

 ところが3月22日の告知後、ロッテファンを中心に、SNSで反発の声が広がった。3月25日に球団は「諸般の事情により配布物を変更」と発表。メガホンに代えて記念ポケットティッシュの配布に差し替えた。
 当初から予定されていたクレーン車の操縦席体験やフォトスポットはそのまま残り、新たにサインボール等が当たる抽選会が追加された。紙メガホン1万本だけが、きれいに消えた。

 紙の筒ひとつで、なぜここまで騒動になるのか。ネット掲示板やXの空気は冷ややかだった。面倒なファンがまたやった、過剰反応にもほどがある、サッカーのサポーター気取りだ、ロッテがメガホンを嫌うなんて都市伝説だと思っていた…。他球団のファンからすれば「使いたくなければ持って帰ればいい」という、それだけの話だろう。 
 だが、ロッテファンにとって「メガホン」は、たとえ紙製のノベルティーであったとしても「触れてはならない領域」だったのだ。

 話は1990年代に遡る。ロッテは1992年に、老朽化した川崎球場から千葉マリンスタジアムへと本拠地を移した。千葉移転後もチームの低迷は続き、スタンドの熱気は独特の方向に凝縮されていった。
 メガホン中心の旧来型応援から距離を置く流れが生まれると1995年、ボビー・バレンタイン監督の就任と前後して、応援団主導でメガホンを使わない手拍子・声援中心のスタイルへの転換が進んだ。
 Jリーグ開幕後に広がったサポーター文化の影響もあり、ユニフォーム着用と手拍子で一体感を作るこの方式は、日本球界では異例の選択。それが今日まで続く、ロッテ応援文化の原点となった。

 つまりメガホンを使わなくなったのではなく、使わないと決めたのだ。30年以上かけて、手拍子と声の応援をアイデンティティーとして育ててきたコアなファンにとっては、スポンサーイベントとはいえ、メガホンが1万本もバラ撒かれるのは、文化の上書きに等しい。たとえそれが紙製のノベルティーであったとしても…。

 とはいえ、である。球団が企画してスポンサーが金を出し、来場者に無料で配るだけのイベントを、ファンが阻止してしまう。しかも球団はそれに従った。ファンがスタンドの「運営者」のように振る舞い、球団がその意向をくんで動く。これは応援文化への敬意なのか、それとも声の大きい層への譲歩なのか。

 守られたのは確かに、30年を超える歴史を持つ伝統だった。ただ、その手段が「スポンサーイベントの内容変更」だったことに、どこか釈然としない空気が漂う。ファンが強すぎるのか。それともロッテという球団がそもそも特殊なのか。紙メガホン1万本は配られることなく、答えを持ち去った。

(ケン高田)

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