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記事全文を読む→「世代論」で読むプロ野球〈1994年世代・続〉(4)30代を迎えた選手の「現在地」
西川龍馬は、敦賀気比高から社会人の王子を経て15年のドラフト5位で広島へ入った。23年には打率.305を残し、そのオフにFAでオリックスへ移籍した。打撃で実績を築いた選手が、異なるリーグで自分の力を試すことになった。
ところが移籍1年目の24年は、138試合に出場して打率.258、出塁率.294。広島での実績から寄せられた期待との間に隔たりが生まれた。投手との対戦経験、本拠地、打線の中での役割。移籍によって変わる条件は多く、成績の落ち込みを1つの原因だけで説明することはできない。25年には打率.310へ戻したが、出場は96試合で規定打席には届かなかった。
打席に立った時の質と、シーズンを通じて提供できた量を分けて見ると、復調と課題が同時に存在していたことになる。3割という数字だけで完全復活と語るのも、出場数だけで不振と語るのも、実態を狭めてしまう。
西川の移籍と並べて考えたいのが、大山悠輔の選択である。大山は24年オフにFA権を行使したうえで、阪神残留を決めた。移籍には環境を変える難しさがあり、残留には、積み重ねた評価や期待を引き受け続ける難しさがある。残留を選べば、それまでの課題が消えるわけではない。移籍すれば、過去の実績がそのまま新しい場所での成績になるわけでもない。30代に入った選手の進路は、自分の長所がどこで生き、何を変えれば働き続けられるのかを考える選択でもある。
94年世代の7人を見渡すと、明と暗は選手ごとに固定されていない。大山と佐野は主力になった後の要求に向き合い、田中と床田は故障で途切れた時間を別の実績でつないだ。柳は好投と勝利のずれを経験し、吉川は出場を続けることで守備の価値を広げた。西川は実績を携えて移籍し、再び適応を問われている。
大谷と同じ年に生まれたという事実は、彼らの野球人生を説明する入り口にはなる。しかし、そこで評価を止めてしまえば、それぞれの仕事は見えてこない。期待を背負い、故障で立ち止まり、役割や環境を選び直しながら、チームに必要な選手であり続けようとする。その歩みが重なって、94年世代という厚みをつくっている。
ゴジキ:野球評論家・著作家。「データで読む甲子園の怪物たち」(集英社新書)ほか著書多数。「マネジメント術で読むプロ野球監督論」(光文社新書)が重版出来。発売前から重版となった最新刊「システムで読む甲子園」(カンゼン)が絶賛発売中。Yahoo! ニュースエキスパート。
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