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記事全文を読む→「世代論」で読むプロ野球〈大谷・誠也世代・続〉(3)カブスが買った「希少性」とは
22年、鈴木誠也はシカゴ・カブスと契約した。MLB公式は、カブスが鈴木と5年契約を結んだことを発表し、契約額は関係者情報として8500万ドルと報じられた。日本人野手として、しかも右打ちの外野手として、これだけの評価を受けたこと自体が、鈴木の希少性を物語っている。
メジャーで日本人野手が評価される時、従来はスピード、守備、コンタクト能力が大きな武器になりやすかった。もちろん、それは今でも重要である。
だが鈴木の場合、カブスが期待したのはそこだけではない。真ん中から外寄りの球を強く叩き、右中間にも左中間にも長打を飛ばす打撃。速球に差し込まれず、変化球を見極め、四球で出塁できる選球眼。つまり、メジャーの中軸候補として必要な要素を、日本時代から備えていた。
もちろん、適応は簡単ではなかった。メジャー投手の球は速いだけでなく、球質も軌道も違う。投手の平均球速、変化球の曲がり幅、データに基づく守備シフト、移動距離、言語、環境。NPBで支配的だった打者でも、最初からすべてが嚙み合うわけではない。鈴木も故障や不調を経験しながら、少しずつメジャーの攻め方に対応していった。
鈴木の存在感は、数字が明確に示している。23年は20本塁打、24年は21本塁打、25年は32本塁打、103打点を記録。26年も9月2日(日本時間)時点で24本塁打、80打点、OPS・863を残している。この継続性こそ、鈴木誠也の本当の価値である。
単年の爆発ではなく、メジャーの投手に研究されながら、それでも一定以上の打撃成績を残し続けている。相手は配球を変えてくる。弱点を突いてくる。内角高め、外角低め、変化球の出し入れ、ゾーン内の攻防。そこで崩れっぱなしにならず、翌年、また翌年と成績を積み上げるところに、トップ選手としての修正力がある。
大谷翔平があまりにも異次元であるため、同世代の選手たちはどうしても小さく見られやすい。だが、鈴木誠也のメジャー実績は、十分に日本野球史の中で特別な位置にある。右打者として海を渡り、長打力を武器にカブス打線の中で存在感を残す。これは、簡単なことではない。
ゴジキ:野球評論家・著作家。「データで読む甲子園の怪物たち」(集英社新書)ほか著書多数。「マネジメント術で読むプロ野球監督論」(光文社新書)が重版出来。発売前から重版となった最新刊「システムで読む甲子園」(カンゼン)が絶賛発売中。Yahoo! ニュースエキスパート。
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