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バラエティー側に来い―アイドルたちに芸人ばりのボケやコントをさせた伝説の番組「アイドル道」。ここから巣立ったのはまさにきら星のごとし。沢尻エリカ、中川翔子、紗栄子、森下千里、北乃きい‥‥佐々木は彼女たちの“素”から未知なる魅力と才能を引き出すことに成功する。
「なんで私たちがちょっと年齢が上だからって、こんなやり方するんですか!」
泣きながら抗議されて、佐々木敦規は「やり方が間違っていた」と気づいた。
「あの時は『お前ら大人だからわかるよな』と思ってたけど、彼女たちはグラビアアイドルであって芸人じゃない。だから“女の子”が出るんです。それでセカンドシーズンからやり方を変えたんですよ」
佐々木が手掛けた「アイドル道」(CSのフジテレビ721。現在のフジテレビONE)は2002年4月から05年3月まで、1シーズンを半年間、第4シーズンまで放送された。
無名のアイドルや女優の卵を集め、MCの芸人とともに様々な挑戦をしながら、笑いの方程式やトークを学ぶバラエティーである。
フジテレビのP(プロデューサー)は「アイドル番組の演出をやったことがない」と渋る佐々木に、「思うようにやっていいから」と説得。そこで佐々木が打ち出したのは、「バラエティーに寄せたアイドル番組」だった。
「それまでのアイドル番組は『アイドルファン向け』で、僕には全然おもしろくない。だからアイドル側には一切合わせず、『俺らバラエティー側に来いよ』という方針を打ち出したんです」
第1シーズンは「制服チーム」と「グラビアチーム」に分けた。制服チームは沢尻エリカ、サエコ(後に紗栄子)ら。グラビアチームは森下千里、片岡未来、星ひとみらがいた。
「1時間番組で前半は制服チームでMCは北陽。女性目線でめちゃめちゃ優しく、女子校の雰囲気でした。後半はグラビアチームでMCはやるせなす。水泳大会をしたりお笑い目線でわざと雑に扱ったんです(笑)。制服チームがゆるい学園コントをしたあとに、グラビアチームは水着でリンボーダンスをやったり、クイズに正解するまで風呂から出られない『お笑いウルトラクイズ』のオマージュをしたり」
前半はかわいらしく、後半は過酷な場面を組む。芸人ならば「雑に扱われて笑いが取れたらたくさん映れる」と喜ぶところだが、女子たちからは‥‥。
「よく怒られました(苦笑)。関係性はできていましたから、彼女たちも笑いながらではあったけど、『リンボーダンスは事前に言ってくれたら準備するのに!』とか『お風呂に長く入ってたらメイクが取れるでしょ!』って(笑)。僕もデリカシーに欠けていたかもしれない。制服チームは中高生だから気を遣ったけど、グラビアチームは19歳から22歳まで。『お前らも大人だからわかるだろう』と思い込んでいました。でも、芸人のような『雑な扱いはオイシイ』は通じないと知って、第2シーズンからはチーム分けをせず、一緒にしたんです」
佐々木敦規(ささき・あつのり)1967年生まれ。演出家・映像ディレクター。フィルムデザインワークス取締役。「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」「とんねるずのみなさんのおかげでした」「IPPON GP」などのバラエティー、K-1やプロレスなど格闘技番組の演出を経て、ももクロのステージ演出を手掛ける。
取材・構成/茂田浩司(ライター&編集者)
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