社会
Posted on 2026年11月01日 21:01

中田組長“無罪放免”から2年 六代目山口組に息づく「山健魂」(2)山口組直参に実刑判決が…

2026年11月01日 21:01

 19年に発生した弘道会系組員銃撃事件の実行犯として殺人未遂の罪に問われた中田組長が、神戸地裁で無罪判決を受け、現場復帰してからちょうど2年が過ぎた。

 中田組長の現場復帰は山口組が新たなフェーズへと始動するうえで、重要なステップとなった。

 釈放後3カ月足らずの司組長誕生祝い前日の25年1月24日に、幹部から若頭補佐に昇格、執行部の一翼を担う最高幹部に抜擢される。翌25日は、執行部の一員として初めて誕生祝いの席に参加することに。

 この抜擢がきっかけであったかのように、六代目山口組は分裂抗争の終戦処理に着手する。抗争終結を宣言し竹内照明新若頭(四代目弘道会総裁)が着任すると、執行部刷新をはじめとする組織改革に一気に舵を切るのである。

 そこへ、さらなる山口組にとっての朗報がもたらされる。同年2月にスタートしていた、前述の弘道会系組員銃撃事件の控訴審が5月、大阪高裁で判決公判を迎え中田組長に無罪判決が下されたのだ。その後、検察側が上告を断念したことで、晴れて中田組長の無罪が確定した。山口組事情に詳しいジャーナリストが言う。

「中田組長の無罪判決は、山健組が21年に帰参を果たして以来、山口組を堅牢な組織にし、次世代へと継承していくための、司組長と髙山若頭(当時)の悲願でした。現在に至る竹内若頭を中心とした新執行部体制の始動には、中田組長の現場復帰、ひいては山健組の躍進が必須だった、と言っても過言ではないでしょう」

 伝統重視と原点回帰を掲げた六代目山口組にすれば、山健組は欠かすことのできない名跡だ。その処遇が抗争下で停滞気味だった組織改革の重要なピースとなったのは当然であった。

 中田組長は、自身が率いる山健組の再出発にあたり、その原点を心に刻む式典をみずからの発案で挙行していた。

 昨年3月5日、山本健一初代が眠る墓園に、その生誕百年を記念する石碑が建立され、開眼供養が執り行われたが、山本初代の墓の隣には中田組長の生前墓がこの機に合わせて建立されたのである。

「節目の年に記念碑と生前墓を建てたのは、初代との来世での契りまで見据えて、末永く組織の安泰安寧を祈願するとともに、初代の墓碑を前にして、初代に倣ならった『捨身取仁』の四文字を胸に、自身も司組長への生涯の忠誠を誓ったんやろ」(地元関係者)

 その山健組の再建はここにきて加速している。今年9月に池田組と六代目山口組の「特定抗争指定」が解除され、三代目妹尾組、二代目南進会、二代目橘会などの岡山県下の直系組織の本部が解放され、地元での活動を活発化させた。それは、神戸山口組との指定解除後の本格始動をにらんだ六代目山口組のテストケースともなっただろう。

 10月15日、六代目山口組執行部の姿は、遠く茨城県鹿嶋市にあった。この日、恒例となっている稲川会(内堀和也会長)、松葉会(伊藤芳将会長)との三社親睦食事会が、同市の松葉会総本部で開かれたのだ。

 ホスト役の松葉会からは、関孝司理事長(助川一家七代目総長)、郡司東光本部長(鯉淵一家十三代目総長)、岡田裕嗣渉外委員長(榎戸一家十代目総長)、佐竹常機総本部局長(佐竹一家初代総長)が出席し、来客の2団体をもてなした。

 六代目山口組は竹内若頭、山下昇本部長(極粋会会長)、安東美樹若頭補佐(二代目竹中組組長)、佐藤光男若頭補佐(落合金町連合会長)が来訪。稲川会からは池田龍治総本部本部長(十二代目小金井一家総長)、小沼武夫運営委員長(六代目箱屋一家総長)、沖勝彦懲罰委員長(二代目山瀬一家総長)、工藤巧統括委員長(九代目八木田一家総長)が出席し、親睦を深め合った。

 また同日、大阪地裁では六代目山口組の直参である三代目一心会・能塚恵会長の判決公判を迎えていた。

 能塚会長は24年6月、大阪市内の路上でキャッチをしていた男性を脅迫したとして、暴力行為処罰法違反に問われていた。裁判では、「本件が酔ったうえでの偶発的犯行であったとしても、居合わせた一般人を脅した対応が悪質。刑を科すことが相当である」として懲役1年(求刑懲役1年6カ月)の判決が下ったのだ。

 特定抗争指定が次々に解除されても、当局とヤクザ組織の攻防には終わりはまだ来ないのだ。

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