社会
Posted on 2026年11月07日 12:45

18歳メス死亡でとうとう「国内飼育ラッコ」はわずか1頭に…パンダとの「待遇格差」と「国会審議の熱量」

2026年11月07日 12:45

 かつては国内で122頭も飼育されていたラッコがとうとう、たった1頭になってしまった。国内の水族館でラッコを唯一、飼育している鳥羽水族館(三重県鳥羽市)が11月5日に、キラ(18歳・メス)が死んだと発表したのだ。
 これで鳥羽水族館が飼育するラッコは、メイ(22歳・メス)1頭のみに。メイはキラが息を引き取るまで一緒にいたそうで、同水族館は当面の間、メイの展示を中止するという。

 キラは和歌山県のアドベンチャーワールド生まれ、国内最後のオスとして福岡市の「マリンワールド海の中道」で飼育されていたリロの妹で、アドベンチャーワールドではラッコの飼育を始めた1987年から、26頭の赤ちゃんラッコが誕生。野生環境と異なる水族館での繁殖は難しいとされるが、リロやキラなど14頭のラッコの生育に成功した。

 アドベンチャーワールドといえばラッコだけでなく、ジャイアントパンダの繁殖実績でも有名な動物園。時期によって人数は異なるが、同園のジャイアントパンダは、ピーク時には専属の飼育員が8人、専門研究員2人が常駐していた。さらに繁殖期になると、中国からも専属スタッフ2名が来日。30年間にわたり、日中間での個体の貸与を通じた繁殖体制の支援、共同繁殖研究が続けられた。

 一方、ラッコの飼育員数は非公表。飼育員が他の海洋生物も担当しているためとみられる。ラッコは乱獲による個体数の激減から、アメリカからは1998年、ロシアからは2003年を最後に、輸入が途絶えてしまった。
 2007年には鳥羽水族館で第1回ラッコ種別繁殖検討委員会が開催され、飼育施設間の個体移動と交換を検討。繁殖の障害として流産、授乳不良、飼育環境によるストレスの可能性などが指摘された。

 この時点で、国内で飼育するラッコの高齢化を懸念する声はあり、国内の飼育施設での個体移動や繁殖協力はあったものの、議事録からは国が積極的に繁殖を支援するような記述は読み取れなかった。

 国会ではラッコとパンダに明らかな「待遇格差」があった。ラッコについては2013年5月23日、参議院環境委員会で環境省の伊藤哲夫政府参考人が、次のように答弁。
「ラッコは既に別の法律で捕獲規制が行われており、種の保存法による追加指定の効果は大きくない」

パンダの高額レンタル料をラッコの繁殖支援にあてていたら…

 これは野生個体の捕獲規制に関するもので、北海道のノシャップ岬(稚内市)周辺では野生のラッコが目撃されており、その個体数は徐々に増えている。飼育下繁殖への支援を不要と断言したものではなかったが、この環境省の見解がトドメとなったのか、その後の国会議事録にはラッコの繁殖支援についての議論を見つけられなかった。

 逆にパンダは何度も国会で審議されている。2019年3月8日には衆議院外務委員会で河野太郎外務大臣が、パンダの供与・繁殖研究を後押しする日中政府間の覚書について交渉する方針を説明。自治体や動物園だけでは対応できない部分を政府間の協力で補うと、国を挙げての支援に言及した。

 パンダ1頭あたりのレンタル料は、上野も和歌山も年間1億円前後。さらに東京都動物園協会のジャイアントパンダ保護サポート基金では、2025年度に計6500万円の支出が予定されていた。
 パンダの高額レンタル料をラッコら希少動物の繁殖支援にあてていたら……。鈴木宗男氏や鳩山由紀夫氏ら「自称ロシア通」議員がロシアに「ラッコ外交」を持ちかけていたら……。メイ1頭となってから後悔しても遅いのだが。

(那須優子)

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2026年11月02日 15:30

    脳梗塞で療養中だった伊達みきお(サンドウィッチマン)が、10月31日の「サンドウィッチマンザ・ラジオショーサタデー」(ニッポン放送)で、2カ月ぶりに復帰した。「さあ、時刻はお昼の1時を回りました。こんにちは。サンドウィッチマンの伊達みきおで...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年11月04日 13:00

    泉ピン子が訴えられた。映画製作会社「HumanPictures」が11月3日、所属監督の映画「AYUMI」と「養父」に出演したピン子に対し、損害賠償を求め2日付で東京地裁に提訴したと、公式Xで公表したのだ。問題が発生したのは、10月23日に...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    芸能
    2026年11月05日 17:00

    毎日のように見聞きする「不正アクセスによる情報漏洩」のニュース。もはや情報漏洩していない企業のほうが珍しいんじゃないのってくらいだし、それどころか官公庁にまで被害は及んでいる。三菱UFJフィナンシャル・グループが、2027年3月までの開業を...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/10/27発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク