だがその一方で、あいりん地区が、歴史的に社会的弱者の受け皿となってきた側面も無視できないだろう。西成区の不動産業者は、厳しい実情を明かす。
「(あいりん地区は)相互扶助のええ街なんやけどなあ。昔は製造業が盛んで、大手の会社もぎょうさんあった。でも、そういう会社が移転してから、ほんま、みんなが貧乏している街になった。正直な話、若い女の人は歩いてへん。うちも賃貸住宅の斡旋をしてますが、家族連れが住まいを探しに来たことがない。そういうところです。平松前市長はモノ言わん政治家やったからな。橋下さんには頑張ってほしい。でも、生活保護の問題がある。この前も九州の人間が部屋を探しに来てたけど、大阪に縁もないのに西成に来て、生活保護を受けるためにこっちに引っ越してきたわけや。そんな人間も多いからね」
いずれにせよ、長年の懸案だった「あいりん地区」を特区にすることで、さまざまな問題が一挙に解決できるかどうかは、疑問の残るところだろう。
1998年に連合大阪の呼びかけに応じて、あいりん地区の研究報告を行った、大阪市立大学の福原宏幸教授(経済学)は橋下市長の「特区構想」に一定の理解を示す。
「確かに、地域社会を活性化することは必要。2003年には『西成差別』についての調査も行ったが、今も根強く、この地域が抱えるさまざまな社会問題は解決されていない。外部から新しい人を呼び込むことが解決になるかどうか、即断はできません。少ないながら、西成区に流入してくる若い人の中には、地方で貧困に陥り、安い住宅と仕事を求めて来る人が一定数いて、そういった受け皿は必要。また、減少しているとはいえ、ホームレス生活者も多く、こうした人たちへの支援のあり方も問われることになる。さらに、課税ゼロとしてもそれだけで若くて元気な子育て世帯があいりん地区とその周辺地域に移り住むとは考えにくい。実現のためには、同時に、彼らが求める住環境とコミュニティ作りの整備が必要でしょう」
専門家も「あいりん特区構想」の難しさを指摘するのだ。
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