プロ野球選手を一流にするのも、ダメにするのも妻しだい。楚々とした大和撫子では決して務まらない、超一流と言われるスーパースターの妻たちの恐るべき「亭主操縦術」に迫る!
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「あげまん」ランクでも1位の落合信子夫人は伝説のデパートだ。
2人が知り合ったのは、落合がプロ入りして2年目の頃。まだ二軍でくすぶっていた落合を叱咤激励し、3年目に首位打者、4年目に最初の三冠王を獲らせた。長年、落合を間近で見てきたスポーツ紙記者は言う。
「才能のあるアンタがなぜ、年俸360万円なの? 私より稼ぎが少ないじゃない、と言って奮い立たせた話は有名です」
その結果、出会ってわずか2年で三冠王という究極のタイトルを獲らせるのだから、そのオトコ操縦術は群を抜いている。
「結果を出した時は思いっ切りほめてあげる、頭をなでてあげたりして、子供に返してあげるのがいい。そうすれば落合は、また私にほめられたいから頑張って打とうとするんです」
自著の中で、信子夫人は夫をやる気にさせる秘訣を明かしている。そして、最初の三冠王を獲った翌83年に結婚すると、85年、86年と落合は2年連続で三冠王に輝く。
「最初の三冠王は個々の数字が突出していたわけでなく、『落合はラッキーだ』という声がありました。そこで信子夫人が『悔しかったら三冠王をもう一度獲れ。そしたら王さんに並ぶよ』とハッパをかけたんです」(前出・記者)
そのかいあって、85年は文句のつけようのない成績(打率・3割6分7厘、52本塁打、146打点)を残す。この時、マスコミをはじめ、世間は落合をほめちぎった。しかし、信子夫人だけは周囲の空気に危険を感じ、手綱を緩めなかった。
「『王さんに並んだだけで満足しちゃダメ。世界の王を抜いてみろ』と、気合いを入れ直していましたね」(前出・記者)
落合は前人未到と言われる3度目の三冠王を獲得すると、世間から悪妻のレッテルを貼られていた信子夫人の評価も一変したのだ。
また93年、シーズンオフに導入されたFA権を行使して、中日から巨人に移籍する時に、悩む落合に対し、「これまでプロ野球選手のステータスを向上させてきた落合が先陣を切らないでどうする!」と詰め寄り、強引にFA権を行使させたのも信子夫人だ。
そのあたりの事情を長嶋茂雄氏と旧知の仲である深澤弘氏がこう述懐する。
「落合はミスターの引退試合を観に来るほど長嶋ファン。ミスターも落合をどうしても欲しい。でもご存じのとおり、落合は熟慮型だから、なかなか決断しない。そこで、信子夫人に尻を叩いてもらったわけです」
さらに、背番号問題でも6にこだわる落合だったが、引退直前の篠塚が譲らず、難航を極めた。
「ミスターが困って信子夫人に電話をして事情を話し、06、60、66の中から選んでほしいと頼んだのが実情です」(深澤氏)
むろん、ここでも落合を説得したのは信子夫人。その豪腕ぶりには舌を巻くばかりだが、94年、中日と優勝をかけて激突した球史に残る名勝負「10・8」でも、落合夫妻の隠された秘話があった。深澤氏が続ける。
「決戦の朝、玄関で靴ひもを結びながら『もし今日の試合に負けて長嶋さんが辞めたら、俺も引退する』と、落合が珍しく弱音を吐いた。そしたら、信子夫人がブチ切れた。『今、何て言ったの? アンタ負けに行くの。何が天下の落合よ!』と、玄関の扉をバンと閉めた。弱気の落合に活を入れたわけですよ。そして、あの先制ホームラン。しびれたね。この話をミスターにしたら『ああいう女房が勝負師の妻として最高なんだ』って、うなずいていたな」
一方、そのミスターこと長嶋茂雄氏も亜希子夫人なくしては語れない存在だ。
「ミスターは亭主関白のつもりでも、僕の目から見たら『亜希子夫人の手のひらの上で踊らされている』ようだった(笑)。当時、大リーグの情報がない時代に、アメリカのスポーツ誌『スポーツ・イラストレイテッド』を取り寄せ、よく読んで聞かせてましたよ。簡単なようで女性にはなかなかできることじゃない。ミスターが本心を話せる唯一の同志だったんじゃないかな」(深澤氏)
闘将と呼ばれる、現・楽天監督の星野仙一夫人・扶沙子さんも気性の激しい星野を陰から支えた糟糠の妻と言えそうだ。
「試合に負けると悔しくて眠れないのが星野さん。そんな夜、扶沙子さんは必ず電話をかけてきた。星野さんの荒ぶる心を静められる唯一無二の存在。負けた日の日課になっていたようです」(テレビ局スタッフ)
常にハイレベルの結果を求められる過酷な生活は不安と一対。超の付く良妻なくして、スーパースターは生まれないのかもしれない。
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