社会
Posted on 2012年04月12日 10:58

「北朝鮮」金正恩ミサイルは迎撃不能の緊急事態(3)「専守防衛」が招く非常事態

2012年04月12日 10:58

 いずれにせよ、北朝鮮のミサイル発射を待つばかりの今の状況は、09年に地下核実験に成功している北朝鮮による「核の脅威」新時代が始まる前段階─とも言うべき緊迫した状況だ。
 そのうえで、冒頭の防衛省元幹部のA氏の警告である。いったいなぜ、技術的には迎撃能力を持った自衛隊が、迎撃不能だというのか。A氏が核心を明かす。
「実は、自衛隊法にのっとれば、『専守防衛』を順守する建て前の自衛隊は領空侵犯がなされないとミサイルを迎撃できないことになっているんです。となれば、日本列島の海岸からわずか12海里(22・2キロ)の領海が侵犯されたことを自衛隊が察知し、迎撃命令が下されるまで、約10~20秒はかかる。PAC3のミサイル速度が秒速約1000メートルと言われていますが、秒速約700メートルで飛んでくると言われる北朝鮮のミサイルは、22キロを30秒ほどで飛んでしまう。領空侵犯したのを確認してから撃っていたのでは、まず間に合わないんです」
 この点について防衛省に確認してみると、広報室の担当者はこう話した。
「国際法上は、ミサイルが他国から発射され、日本の領空を侵犯することが予想された場合、発射した国の領海を越えてミサイルが公海に入った時点で迎撃は可能です」
 しかし、A氏は一笑に付してこう語るのである。「これは自衛隊ではなく海上保安庁が直面したケースですが、一昨年の中国漁船による尖閣諸島沖の事件の例を見ても、領海が侵犯されてから初めて海保は行動に移せたでしょう。あれと同じで、確かに国際法上は公海上にミサイルが到達した時点で迎撃できるかもしれません。しかし、自衛隊法では、あくまで領海や領空が侵犯されてからでないと、何もできないんです」
 それでは法の壁のために、ミサイルが日本領に着弾するのをみすみす指をくわえて見ているのに等しいと言わざるをえないではないか。
 ある軍事ジャーナリストは過去の取材経験を振り返りながらこう話す。
「以前、防衛省の現役の文官に『有事法制が整わない現状で、他国の脅威が迫っている場合、法を順守していては間に合わない不測の事態が起こったらどうするか』と聞いたことがあった。すると彼は『超法規でやるよう防衛相に進言し、彼がクビ覚悟で決断するのに期待する』と答えた。そうした人物が、省の中枢にいれば、実際にミサイルが領空を侵犯する前から迎撃する決断もありえるんじゃないでしょうか‥‥」
 確かに田中防衛相なら、そんな進言があれば、「任せるよ」と、答えてくれそうな気もする。が、A氏が再び否定的な見解を示す。
「昔なら日本とアメリカで示し合わせて国際法を超えた作戦を実行することができたかもしれません。しかし、情報技術が発達した現在では、防衛省や自衛隊が実行した作戦の記録を隠すことは不可能。
 今回のケースで言えば、もしミサイルが領空侵犯をする前に迎撃すれば、その事実は国際的に明らかになることは間違いない。その際の国際的非難を恐れ、結局思い切った行動はできず、手をこまねいている間にミサイルは着弾してしまうんです」
 

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年09月04日 07:00

    地上からは想像もつかない深海で、半世紀前に投棄された「核のゴミ」が静かに朽ち果てている――。米メディア「The Week」電子版が、そんな背筋が寒くなるようなニュースを報じた。フランス沿岸から約1000キロ離れた北東大西洋海域の水深約470...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    政治
    2026年09月04日 07:15

    中国人民解放軍が公開した一本の「反戦アニメ」に、日本から「ジブリの丸パクリではないか」との批判が集中している。人民解放軍の英語版公式Xは「中国は日本当局に軍国主義との決別を促す」との投稿に2分5秒の短編アニメ「平和の仮面」を添付した。画面に...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年09月05日 14:15

    東京都港区で8月に行われた「麻布十番納涼まつり」で、屋台の「冷やし蟹ラーメン」を食べた78人が下痢や嘔吐などの症状を訴え、3人が入院した問題で、新たな衝撃事実が判明した。東京都と港区は発症者31人と従業員2人の便からサルモネラ属菌が検出され...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/1発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク