社会
Posted on 2026年09月06日 12:00

一等地の三省堂池袋本店「年内閉店」でわかる「なくなる本屋となくならない本屋」の違い

2026年09月06日 12:00

 東京・池袋駅直結の一等地に構える三省堂書店池袋本店が、2026年12月31日で閉店する。2015年の開店から11年。「駅前の大型書店=人が集まる場所」というイメージが根強かっただけに、驚いた人は多いだろう。

 東京では八重洲ブックセンター本店、リブロ池袋本店、旧・三省堂書店神保町本店など、街のランドマーク的な大型書店が相次いで姿を消してきた。では、書店はどこにあれば生き残れるのか。

 実は問題は「立地」だけではなさそうだ。書店関係者が語る。
「駅前の本屋が苦しくなったのは、単に『本を読む人が減ったから』ではありません。かつては通勤帰りに雑誌や文庫本をなんとなく買う客が一定数いましたが、スマホでニュースを読む習慣が定着し、雑誌の定期購読は減少しました。新刊もネットで注文すれば自宅に届く時代です。一等地に店を構えていても『通りかかったから買う』という客をつなぎ止めるのは難しくなっています」

その店に行くこと自体が目的になる場所

 現在も存在感を保つ書店には、はっきりした共通点があるという。
「専門性が高い、独自の品揃えがある、イベントがある、カフェを併設しているなど、つまり『本を買う場所』ではなく『その店に行くこと自体が目的になる場所』であることです。東京・神保町の三省堂書店や東京堂書店、池袋のジュンク堂書店、代官山の蔦屋書店、大阪・梅田の紀伊國屋書店、京都の恵文社一乗寺店などですね。専門書や地域本、児童書など品揃えに特色があり、店員の選書に個性があります」

 検索ひとつで目当ての本が見つかり、自宅まで届くネット書店に、品数だけで対抗するのは難しい。だからこそリアル書店に必要なのは「ここに来たら面白い本に出会える」という、わざわざ足を運ぶ理由なのだ。さらにトークイベントやサイン会、カフェ、文具など、本以外の楽しみも用意されている。

 三省堂池袋本店の閉店は、単なる大型書店の撤退にとどまらない意味を持つ。これからの書店は「人が通る場所」にあるだけでは生き残れない。「人がわざわざ行きたくなる場所」であることが、明暗を分けるのかもしれない。

(カワノアユミ)

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