社会

50代フリーライター「タクシー運転手」副業は意外とウハウハだった!(3)ホテル難民に車両を貸し出し

20161027z3rd

「タクシーを転がしている」と言うと、多くの人から「道を知らないとできないでしょ?」と聞かれる。私自身、ライターをしていた時はそう思っていたが、実際に蓋を開けてみると、ドライバーに求められるのは「地図的な知識」よりも「乗客への対応能力」というのが実感だった。

 例えば乗客から「急いで東京駅に行ってください」と言われたとしよう。この時、自分でルートを選ばずに「ご指定のルートはございますか?」と確認するのだ。なぜなら勝手に道を選ぶと、渋滞にハマった場合、客のイライラはこちらに向けられる。下手をすると苦情ざたとなるが、客に選択させれば運転手のせいにはならない。つまり主導権を相手に渡してトラブルを防止するのだ。

 客が道を知らなければカーナビに頼ればいいし、何よりカーナビがあれば知らない場所でもどうにかなる。深夜の客にも、

「ご住所を教えてくださいませ。ゆっくりお眠りいただけますので」

 と、優しく受け答えできる。

 トラブルや苦情が会社や近代化センターに入ると面倒なことになるが、トラブルを防ぐのにいちばん大切なのは、

「とにかく気分よく乗ってもらうこと」

 ドアを開けた瞬間、「はいどうぞ!」と笑顔で出迎えると、客も安心できる。気分よく乗ってもらえばこちらも気分がよくなる。すると知らずにツキに恵まれ、懸命に流すうちに売り上げが上がることを体感した。

 気になる稼ぎといえば、金土の稼ぎ時は1日7万円、月~木は5万円といったところ。平均は1日6万円前後だ。私は副業のため労働時間をセーブしているが、正社員になった場合、月に72万円、手取りはおよそ35万円といったところ。公休出勤も含めれば、年収ベースで500万円ぐらいだろう。

 老若男女、いろんな乗客がいて飽きないが、中でもおもしろいのが「ホテルに行きたいカップル」だ。

 春も間近い3月、金曜の3時過ぎ。都心に戻る途中で手があがった。乗せたカップルの行き先は「湾岸沿いのホテル」。逆方向だが、こういった客はおもしろい。メーター料金が「読めぬ」うえに、格好のネタになるからだ。

 案の定、そのホテルは満室だった。こうなると「ホテル探し」が始まる。葛西、浦安、本八幡と探しまくるも満室のオンパレード。メーターはすでに1万円を超えている。「早く着けてあげたいけど、どこもいっぱいだねぇ」と言いつつ、心の中では「よっしゃー!」と叫びまくりたくなった。

 さらに小岩まで走ったが、やはり満室でメーターは1万5000円。時間はすでに4時近い。このままではかわいそうなので、気分をつなごうと「お客さん、彼氏のどんなところが好きなの?」と振ると、女性は「一生懸命なところ」。「やっぱエッチも一生懸命?」などと聞くと、男も「何だよ、いつも頑張ってるだろ!」とノッてきた。

 しばらくすると、待ちきれない男は女の股間に手を伸ばしている。しかたないので「プラス1万円で貸してあげようか」と言ってみると、「お願いします」と男が懇願する。女がコンビニでウエットティッシュやジュースなどを買い込み、その足で海沿いの公園に車を止め、1時間ほど外で待った。私がのぞき見しても、怒るどころか喜んでいたっけ。

後藤豊(ライター)

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
2
高島礼子の声が…旅番組「列車内撮影NG問題」を解決するテレビ東京の「グレーゾーンな新手法」
3
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
4
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
5
皐月賞で最も強い競馬をした3着馬が「ダービー回避」!NHKマイルでは迷わずアタマから狙え