芸能

元日テレ・敏腕プロデューサーが明かす「3年連続視聴率3冠の秘密」(3)技術革新で限界収録が可能に

20161103w3rd

 11年3月11日に発生した東日本大震災により、「DASH村」企画は中断した。しかし、「鉄腕DASH」は、次にTOKIOメンバーが渚を再生させる「DASH海岸」、島を開拓する「DASH島」と、次々に新境地を成功させていく。

 その一方で「0円食堂」などのコーナーもヒットさせている。この農家や漁師から不要の食材をもらって料理を作る企画は、地方の人との触れ合い方などが、どこかの局を思い出させないだろうか? そう、笑福亭鶴瓶(64)がステキな家族を見つけて日本中を巡る「鶴瓶の家族にカンパイ」(NHK)にも似たところがあるのだ。いわば、「中身はNHK的」というところが、「鉄腕DASH」の、ロングスパンチャレンジ企画以外の、もう一つの強みとなっている。

 ネットなどで「職業・農業兼土木作業員のバンドマン、たまにアイドル」とまでたたえられるまでになったTOKIO。「鉄腕DASH」がNHK的になったがゆえに、いずれ「笑点メンバー」並みの高齢になるまで、さまざまな開拓を続けるのだろう。

 そして、20時に放送される「世界の果てまでイッテQ!」は、現在小中学生から最も支持を受ける番組である。

 ちなみに「イッテQ」も「鉄腕DASH」と同様、番組開始は月曜の23時台であった。遅い放送時間で一定の評価を得たあとで今の放送時間に移ったのだが、この「移転方式」は、日テレの王道パターンとして定着している。深夜の枠で基本的な形を整えて、日曜20時へ──「イッテQ」放送の時間帯こそ、かつて「元気が出るテレビ」をやっていた枠であり、「NHK大河ドラマ」裏という困難な時間帯である。

 世界中の「祭り」に挑む宮川大輔(44)、「間欠泉」に挑む森三中などの企画の中から、やがて「珍獣ハンター」イモトアヤコ(30)というスターが生まれた。ほぼ無名だった女性芸人を起用した番組制作サイドの“眼力”と、それに応えたイモトも大したものだ。

 この「イッテQ」の源流はあの「電波少年」である。「電波少年」といえばアポなし取材とヒッチハイクが有名だが、このヒッチハイク企画、実は技術革新による部分も大きかったのはご存じだろうか。

 交通手段もままならないアフリカなどの奥地で、ディレクターがみずから家庭用ビデオカメラで撮影を行い、テープを街から日本に送る。1990年代以前は、そこまで簡単にカメラを持ち歩き、故障もせずに撮影するのは不可能だった。重い撮影機材をカメラマンとアシスタントが抱え、音声マンも同行する体制が必要だったのだ。当然、予算もかかる。技術革新により、コンパクトなチームでアクティブな撮影ができるようになった結果が、ヒッチハイクやイモトの企画である。

 イモトのマナスル登頂にしても、小型軽量となった機材だからこそ、8000メートルを超える高峰で存分に撮影ができたのだ。

村上和彦:(株)プラチナクリエイツ代表。65年生まれ、神奈川県小田原市出身。元日本テレビ放送網制作局専門部長兼演出家・テレビプロデューサー。「ヒルナンデス!」を立ち上げ、「『笑っていいとも!』を終了させた男」として知られる。「スッキリ!!」の視聴率アップや、「24時間テレビ」ほかを総合演出。14年に日本テレビを退職し、フリーランスに転向。現在もテレビ東京「モーニングチャージ」監修ほか番組制作を行っている。

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