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記事全文を読む→早世のマドンナたち⑥ 太地喜和子 親友カルーセル麻紀が見た水没死直前の予兆(3)
骨董品の櫛を見て様子が激変
カルーセルが喜和子と出会ったのは、まだお互いが若手だった65年のこと。喜和子と同期の俳優座16期生に「彼氏」がおり、その縁で紹介してもらったという。ちなみに、その男とは喜和子も短期間だがつきあうようになり、カルーセルは「姉は私だから」と笑っていた。
やがて喜和子は文学座に移り、その舞台を新宿・紀伊國屋ホールに観に行くと、異様な光景にあっけに取られた。
「私だって舞台では前張りをするのに、喜和子はスッポンポンでやっているの。終演後に喜和子に『丸見えだよ』って告げると『だって服着てたってしょうがないでしょ』って。いつもの調子で『さあ飲み行くぞ』になっちゃったから」
文学座には杉村春子という押しも押されもせぬ大女優がいた。さすがの豪胆な喜和子も、杉村の前には直立不動の姿勢となった。
カルーセルは杉村の代表作である「欲望という名の電車」のブランチ役を、いつの日か喜和子が継承される日を心待ちにしていた。ブランチの妹役で杉村と共演し、杉村にとっても後継者は太地しか考えられなかった。
「喜和子は杉村先生との共演だと、私にも『花なんか絶対に贈るな』とクギを刺していた。喜和子のところに届いた花でも、すべて杉村先生の部屋に持っていくくらい気を遣っていたわ」
立て続けの異変を感じたのは、喜和子が亡くなる直前のこと。カルーセルの趣味である骨董品の櫛やかんざしを並べて喜和子に見せていた。そのうち、数百万の価値のある櫛を喜和子が手に取ると、一瞬で様子がおかしくなった。
「突然、目も見えないし耳も聞こえない状態になって、後ろにガーンと反っちゃった感じ。そのまま何も言わないで帰ったのよ。私はその櫛を比叡山に収めておはらいしてもらったの」
芸能界きっての酒豪で知られた喜和子は、肝臓こそまったく影響はなかったが、緑内障を患い、失明の危機にあったとも言われる。この「霊障」が影響したのかどうかは、今となっては確かめようもない。
そして最後の代表作である「唐人お吉」を演じ出してから、見た目も変わってきたとカルーセルは言う。「亡くなる少し前に、私の姉も一緒に祇園で会ったのよ。そしたら喜和子がすごく痩せていて、姉が取り乱して泣くくらい死相が顔に浮かんでいた」
喜和子は死の直前、若手の劇団員を2人連れて、地元のスナックでしたたかに酩酊した。店のカラオケで「お吉物語」を流すと、それはカルーセルが出演している映像だった。
店のママと4人で「海が見たい」とドライブに出かけたのは、大親友の映像を観た直後である。芝居のことしか考えなかった喜和子は、はからずも「お吉」となって海に沈んだ─。
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