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Posted on 2016年11月19日 09:57

米倉涼子の魅力だけじゃない?テレ朝「ドクターX」失敗しない舞台裏を総直撃!(2)数字のための小細工一切なし

2016年11月19日 09:57

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 シリーズ開始前には、「大門未知子」のキャラクター確立のために、現役医師であり医療ジャーナリストの森田豊氏に相談した。その森田氏が語る。

「『女性医師を主人公にしたドラマを作りたい』という内山さんらスタッフの皆さんに、医療の現場の実態についてお話しする機会がありました。そこで、午後5時できちんと帰る、働いたら働いた分だけ報酬を得るといった、私の考えていた『本来あるべき医師像』をいろいろお話ししたところ、制作側が考えている『大門未知子』像と一致するということになりました」

 こうして、「医療監修」として、ドラマ制作に携わるようになった森田氏。そのアイデアは「論文の手伝いはしない」「時間外労働は時給3万円」など、ドラマ内での印象的な“雇用条件”のベースになったという。

「実際の医療現場でも、以前は、大学卒業後の新人医師の研修を大学病院で行うのが主流でした。しかし、04年の臨床研修制度の改正で、研修先が選べるようになり、民間・公的病院を希望するケースが多くなってきました。若手医師が大学病院での研修を避けることで、教授が絶大な権力を持つ医局講座制が崩壊し始めた。その影響で、ドラマが始まる少し前くらいから、『フリーランスの医師』が、世に出始めたのです」(前出・森田氏)

「大門未知子」誕生の背景には、リアルな医療界の実情が存在していたのだ。

「仕事を効率化して、ムダなことを『いたしません』という姿勢が今の社会のどこであれ、求められているのではないかと思います。権力闘争に加わらず、ふだんから手を動かして患者さんを治し続ける大門未知子は、『医療の原点』に戻った医師。だからこそこんなにも支持されるのではないでしょうか」(前出・森田氏)

 上司・西田敏行の無理難題な命令にも常に「御意」と答え、絶対服従する小心者の教授・海老名を演じたのは遠藤憲一(55)である。アウトロー役の多い遠藤と、「御意男」のギャップは視聴者に大ウケ、第2期と第3期にレギュラー登場した。

 第4期キャスト発表時に、「御意男」がレギュラー出演しないことがわかると、ツイッターなどで「海老名ロス」を訴える声も出たほど。今期も、11月10日放送の第5話と17日放送の6話にゲストで再登場しているが、その遠藤に聞いた。

「僕は自分のコワモテなイメージに合わせた役柄を求められることが多いので、海老名のように気が弱くて、何事にも『御意』って従っちゃうようなキャラは演じていて楽しい。それに本当の自分の性格は海老名に近い部分もあるので、素の自分をすくい上げてもらった感覚がありますね」

 上司としてセリフを掛け合う機会が多かった西田敏行については、こう明かしてくれた。

「西田さんは台本にないアドリブをかなり入れてくるんです。でもそれは、単に『笑わせてやろう』というような、適当なものではなくて、役柄を見抜いたうえで、それぞれのキャラを膨らませる達人級の技。西田さんとの“セッション”が海老名のキャラをより固めてくれました」(前出・遠藤)

 結果、押しつけられる無理難題に「御意」とひと言返すことしかできない中間管理職の悲哀がにじみ出て、海老名は愛されキャラとなった。その舞台裏では、制作スタッフが地をはう姿勢で働いていた。

「『数字を取るために何かする』みたいな小細工は一切ありません。でも手術シーンが非常に正確だとか、そういうところをちゃんと作っているので、ストーリーに一本芯があるんです。例えば僕で言うと、セリフで使う医学用語のちゃんとした発音のCD音源を渡されました。スタッフも相当苦労していると思いますよ」(前出・遠藤)

 前出・森田氏も、監修の立場から、何度もチェックを入れると語る。

「フィクションですから、全てがリアルである必要はない。しかし患者さんに不快な思いをさせたり、『そんなこと、絶対にありえない!』と思われたら、ドラマとしてダメだと思うのです。『この病気でこんな症状が出るはずない』とか、『この治療では決して治らない』といった、医学的に間違っている部分は、台本段階で十分に検討しています」

 ドラマとは、大胆な荒唐無稽さが魅力である。しかし、それが宙に浮かないように、繊細にリアリティを練り込んでいるのだ。

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