スポーツ
Posted on 2012年09月11日 10:59

プロ野球「師弟の絆」裏物語 第2回 松坂大輔と東尾修の「一子相伝」(2)松坂が“原点回帰”した

2012年09月11日 10:59

 だが、松坂のピッチングは、リハビリを経てからは大きく変わっていた。その投球ぶりを見た時、プロ入り直後の松坂の投球との類似点を見つけることができた。当時監督だった東尾は松坂について、こう分析していた。

「アイツは結構、頑固なんだよ。自分で納得するまではなかなか自分のスタイルを変えない。プレーも三塁側ばかりを踏んでいるけれど、幅をつけるため、一塁側から投げれば、体のキレも必要になってくるし、速いボールを投げよう投げようとするから、力んでタメができない。8割の力で投げろ。スピードガンを見るなと何度も言ったことがある」

 あれから14年たった復活戦で、松坂が自然に行っていたことこそ、〈一塁側のプレートを踏み、8割の力で投げる投球〉だったのだ。

 全101球の投球中、71球というストライクの多さも、東尾が伝えていたことを忠実に守った結果といっていい。

「どっか頭の片隅に残っていたとすれば、うれしいね」

 と東尾も満足気だったが、それほど松坂というピッチャーは、東尾が手塩にかけて育ててきた存在だったのだ。

 ここで思い出されるのは、松坂の入団直前のシーズンのことだ。98年の日本シリーズ、東尾率いる西武は、権藤博(現中日投手コーチ)率いる横浜(現DeNA)と対決した。結果は横浜が4勝2敗で日本一に輝く。

 その年のドラフトでは、西武が横浜より先にくじを引くことになった。そして“西武・松坂”が誕生した。

「あの時うちが負けていたならば、間違いなく松坂の当たりくじを引けた。シリーズで負けて2位になり、松坂を取って日本一になれば、横浜は間違いなく盛り上がったはず」

 と権藤は冗談めかして言う。松坂の希望球団も横浜だったのだから、なおさらである。

 だが、松坂は西武に入団した。当時、オーナーだった堤義明の号令一下、「金の卵」であった松坂への配慮は並大抵ではなかった。

 失業中だった松坂の父親を系列の運送会社に入れることに始まり、将来松坂の弟を系列会社に入社させる確約をし、松坂が入る寮の寮長は、松坂の横浜高時代の監督、部長と懇意だった所沢商の監督を配置している。まさに、至れり尽くせりのVIP待遇である。

 東尾は、若かりし日の松坂にこう伝えた。

「最初は右も左もわからず、いきなりプロ入りしたのだから、こっちで手を差し伸べなければいけない。だが、その先は自分の才覚で作り上げていかないといけないからな」

 それほど、東尾も松坂の将来性に期待していたのだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2022年07月05日 17:58

    可愛さ余って憎さ百倍。いやはや、この2人のバトルは本当にすさまじかった。沢口靖子が主演したNHK連続テレビ小説「澪つくし」や、渡辺謙主演の大河ドラマ「独眼竜正宗」の脚本を手掛け、飛ぶ鳥を落とす勢いだった脚本家のジェームス三木氏。ところが19...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年07月31日 06:45

    堺雅人主演ドラマ「VIVANT」(TBS系)が3年ぶりの続編でも、圧倒的な存在感を放っている。第2シーズンの初回放送は、平均世帯視聴率18.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録。放送中にはXで世界トレンド1位になった。前作は2023年...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    芸能
    2026年08月06日 17:00

    2024年7月に停車中のロケバス内で共演者の女性に性的暴行をしたとして、不同意性交と不同意わいせつの罪に問われたのは、元お笑いトリオ「ジャングルポケット」の斉藤慎二被告だ。その第6回公判が8月5日に東京地裁で開かれ、検察側は懲役7年を求刑。...

    記事全文を読む→
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/8/4発売
    ■690円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク