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記事全文を読む→ビートたけしの金言集「ずっと下を向いた殿に対して“ネタ見せ”」
「今度ちょっと、どんな漫才やってるか、見せてくれよ」
20年程前、たけし軍団に潜り込み、2年が過ぎた頃、殿から唐突に言われた言葉です。当時、漫才コンビを組み、1年半程のキャリアだったわたくしは、殿のいきなりの「ネタ見せ」発言に、「ついに子供の頃からあこがれていた、漫才の革命児・ビートたけしにネタを見てもらう時が来たのか!」と驚愕し、武者震いしたのをよく覚えています。ビートたけしの弟子になるということは、“あなたに影響され、非力ながらも、今、こんなお笑いをやっています”といった思いで、ネタを師匠に披露する日が、いつか必ず来るということであり、それは恐ろしく幸せなことであると同時に、とんでもなく“ビビる”行為でもあるのです。
そんな殿へのネタ見せは、兄弟子の兄さん方も、やはり経験しています。以前、ある兄さんから聞いたネタ見せ体験が、なかなかハードでした。
わたくしが弟子入りする前の、90年代初頭。軍団さんと浅草キッドを除いた、“最若手の何人かの弟子”に対し“あいつら、ちゃんとネタを作って精進してるのか?”といった殿の疑心暗鬼のもと、一時期毎週、テレビ番組収録の合間に、楽屋にて、殿へのネタ見せが開催されたことがあり、それが大変怖いものだったそうです。若手がネタを披露している間、殿はずーっと下を向いたままネタを聞き、ややすると、
「もういいよ。次!」
「何でそうなるんだよ!」
等々、とにかく、誰のネタを見ても殿は終始イライラし、それはそれは恐ろしい空気の中でのネタ見せであったと聞きます。
当時を振り返り、ある兄さんは、「正直、みんな、とんでもなくつまらないネタをやっていたから仕方ないんだけど、それにしてもあれは地獄だった」と。
時は流れて、わたくしが殿の弟子になってすぐのこと。少しばかり先輩である、お宮の松&無法松の漫才コンビ・北京ゲンジが、北野映画「キッズ・リターン」に漫才師を目指す役で出演することになり、それに伴い、映画の中で披露する漫才のため、殿から、
「どのくらい漫才ができるか、今度ちょっと見せてくれよ」
と、ネタ見せの要請が発動されたのです。この時、軍団の兄さん方が皆、殿をイライラさせてはまずいといった思いから、「お前らの漫才はまだ未熟だから、いっそのこと、ツービートの漫才をコピーして、少しアレンジして殿に見せたほうがいい」とアドバイスを送り、北京ゲンジのおふたりはその言いつけを守り、ツービートの漫才をベースとしたネタを殿に披露。そんな漫才を目撃した殿は、
「あんちゃんたち、センスいいな~。ネタが俺好みだよ」
と、いたく褒めちぎり絶賛。そんなネタ見せの様子を見ていた軍団の誰もが、
〈そりゃそうでしょう。だって、殿のネタなんだもん!〉と、心の中で一斉にツッコんだそうです。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!
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