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記事全文を読む→孫正義 長者日本一への⑦決断 「ドコモに勝つには『物語性』『ナゼ?』がほしい」(2)
訴えたい「愛する商品のよさ」
その時、佐々木の元同僚であった電通スタッフが作ったクリエイティブ集団「TUGBOAT(タグボート)」が、NTTドコモの「ドコモ2・0」のキャンペーンを始めた。浅野忠信、長瀬智也、妻夫木聡、瑛太、吹石一恵、土屋アンナ、蒼井優、北川景子といった俳優、女優陣を登場させた豪華なCMを流した。
佐々木は、元同僚たちの作るCMに刺激され、CMプランナーの澤本嘉光と話した。「犬で家族もいいんだけど、もうちょっと何かできないだろうか。このまま、こっちが犬だけというのは悔しすぎる」
もっとインパクトのあるCMを作りたかった。
孫は、佐々木らに提案した。
「登場人物にキャラクターを設定して、ストーリー性を打ち出した作りにしてほしい。そこに『なぜだ?』と思えるような、記憶に引っかかる部分、ほのぼのとしたユーモラスな部分と、好感度をグッと上げるような方向性をぜひ打ち出してほしい。そして、あとで振り返って総集編を見ると、非常に面白い連続ドラマであったと思えるような作りにしてほしい」
目にするCMの多くは、俳優、女優やモデル、あるいは、自動車の美しさ、かっこよさばかりが際立っている。いざ翌日になって、どこの自動車メーカーの何という車種だったのかと思い出そうとすると、さっぱり思い出せないこともある。映画やドラマのようなストーリー性や、映っている俳優、モデルの背景を感じられないからだと孫は思っていた。CMは、ただ商品を美しく飾り立てればいいわけではない。自分の愛する商品のよさを、なんとしても訴えたかった。
そこで孫は、15秒という短い時間に、ドラマ仕立てのストーリーに練り上げていくことを提案した。
〈自分の思ったとおりのCMができあがれば、2カ月後、3カ月後に出てくる連続の作品で、記憶に残ったイメージがつながっていく。性別、世代を問わず、誰からも好感を持たれるはずだ〉
孫はそう読んだ。CM史上、初の試みであった。
そこで考え出したのが、「白戸家(ホワイト家)」であった。
佐々木らは、孫がイメージしたとおりのCMプランを作り上げた。お父さん、お母さん、お兄さん、4人家族「白戸家」のストーリーである。
ソフトバンクの店員である娘役の上戸彩は、「Yahoo! BB」CMでも二代目のイメージキャラクターであった。そのうえ、上戸が所属するオスカーの社長は、電通の営業部長から孫に請われてソフトバンクに移った栗坂達郎の知り合いでもある。時間的な融通を聞いてもらった。
兄役は、かつてソフトバンクのCM「予想GUY」のダンテ・カーヴァーを起用した。まだ有名でないので、時間調整はいくらでもできた。母親役の樋口可南子は、これまでソフトバンクのCMに出演したことはなかったが、孫と佐々木の好みで選んだ。
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