社会

緊急大特集 日中「尖閣全面戦争」完全シミュレーション(2) 「経済打撃、都市への停電サイバー攻撃に備えよ」「軍事力はむこう10年自衛隊が圧倒できる!」

富坂聰(ジャーナリスト)

「経済打撃、都市への停電サイバー攻撃に備えよ」

 軍事衝突もさることながら、中国が日本に仕掛けてくる「経済戦争」が要注意です。

 まず、「日中開戦か!」と緊張が高まると、世界中の外資企業が日本から撤退します。戦争による危険を回避するため、本土から帰国の通達が来るからです。

 さらに、人的な移動と同時に日本株式市場の半分を支えていると言われる資金を引き揚げますから、株が投げ売りされ、リーマン・ショックをも上回る不景気が押し寄せ、倒産する企業が続出、戦時恐慌になっていきます。

 実際、96年、台湾の総統選挙の時期に起こった台湾海峡ミサイル危機の際には、株価と台湾ドルの暴落が起こりました。

 いざ開戦となれば、当然ですが、中国は日本企業をインフラなど巨大事業の公共事業の入札メンバーから外し、商社をはじめとする日本企業は大打撃を受けます。

 また、日本のハイテク製品に必要なレアアース(希少元素)は、中国が産出の90%以上を占めているので、中国が経済制裁を加えれば、日本企業のハイテク製品の多くの生産がストップしてしまいます。

 中国にある日本法人は、襲撃対象になるリスクはもちろんですが、現地での外資系企業に対する優遇措置も奪われるでしょう。立ち上げ期の免税と進出地域別の優遇税制がありますが、よほど中国にとって有益となる日本企業以外は、この制度の適用から外されることになると思います。そればかりか、「○○協力費」の名の下に、金を搾取される可能性も高いですね。イチャモンをつけようとすれば、いくらでもつけられますから。

 また、すでに起こっていますが、心理的な部分も大きな影響を及ぼします。

 日本車に乗っていれば「裏切り者」と非難され、車を壊されるケースが続出しています。同じように、車のみならず日本製品の買い控えは間違いなく進みます。

 さらに心配なのは、中国のサイバー攻撃です。

 もうすでに攻撃を受けており、9月19日には警察庁も発表しましたが、防衛省、総務省、最高裁などの政府機関や電力会社や銀行などの民間企業の19サイトがサイバー攻撃を受けました。中国国旗が振られた映像が現れるホームページ改ざんや、閲覧障害の被害でしたが、政府が尖閣諸島の国有化を閣議決定した9月11日以降、中国最大規模のハッカー集団「紅客連盟」は、日本の政府機関や金融機関など約300組織を名指しして、攻撃を予告しています。

 さらに、中国は国家としてもサイバー軍団を持っています。一説にはアメリカや日本をはじめとした国家機密や軍事機密を入手していると言われていますが、誰の仕業かわからない形で電力危機であえぐ日本に対し、サイバー攻撃で都市への大停電を引き起こしてくる可能性があるのです。

 そんなことになったら世界中が黙っていないだろう、と思う読者の方もいるでしょう。ところが、近年の中国はメディア戦略による世論工作を十分に考えています。2010年にはアメリカの名門雑誌「ニューズウィーク」の買収に乗り出しています。結局、失敗に終わりましたが、このような世界の主要なメディアを手中に収めることで、常に中国にとって有利な情報を流すことをもくろんでいます。ですから、「悪いのは日本だ」という世論を世界に流すことも可能です。

 私がいちばん得策と考えるのは、中国の挑発に乗らず、毅然とした大人の対応をすることだと思います。石原慎太郎都知事のような過激な言動は、中国政府にとっては大歓迎です。国民の政府への不満を日本にスリ替える格好のカモですから。

 日本政府は多角的かつ大局的に戦略を練って対応しなければなりません。そうでなければ、国民が路頭に迷うことになります。

 

田母神俊雄(元航空幕僚長)

「軍事力はむこう10年自衛隊が圧倒できる!」

 弱腰につけ込み、脅しで尖閣諸島を奪おうとする中国に、日本と戦争をする気などありません。万が一戦った場合、経済的ダメージや国際社会の批判など、失うものが大きいからです。中国はコスト意識の強い商人国家であり、ましてや現在の中国に日本を屈服させる軍事力などありません。あの国の軍事力は過大に評価されすぎています。というのも、軍事費をこれ以上減らされたくないアメリカが、中国の軍事力を過大に世界に宣伝しているからです。例えば中国のステルス性戦闘機・殲21も、コピーしか作れない中国が簡単に作れるのか疑問であり、アメリカがF35を日本に買わせるための情報戦であると私は見ています。

 こう話すのは本誌連載「田母神大学校」でおなじみの田母神俊雄氏。具体的な中国の軍事力の詳細については「(国防上の)秘密を漏らした罪で捕まる可能性がある」と苦笑するが、冷静に分析すると、「中国が日本を圧倒するには10年はかかる」と語る。また、中国の“過大評価”は軍事力のみならず、経済面でも同様だという。

 本来、GDP(国内総生産)の3分の2を占める個人消費が伸びて、初めてGDPは伸びます。つまり人々の生活が豊かになるのがGDP成長の必須条件ですが、中国の場合、GDPにおける個人消費の割合は3分の1しかなく、しかも個人消費を減らしながらGDPが伸びています。

 これにはカラクリがあります。例えば、中国政府が人民元をどんどん印刷して富裕層に金を貸し、転売目的で住宅を売買させていますが、その数字も全てGDPにカウントしています。つまり、見かけ上のGDPを伸ばすのに必死で、世界の標準とは経済構造が違うのです。

 反日デモではスーパーの強奪や不買運動が起こり、日本企業が不満のハケ口にされたが、それこそ生活レベルが向上していない証拠と言えよう。中国に進出した日本企業の撤退が後を絶たないのも“粉飾決算”にダマされてきたからだという。

 では、度重なる尖閣諸島への“嫌がらせ”に対し、日本はどのように対応するべきか。

 海上自衛隊を現地に投入すればいいのです。尖閣諸島周辺に護衛艦を2隻ほど遊弋(ゆうよく)させ、戦闘機を宮古島などに機動展開させる。この態勢を取れば、中国は引き下がるしかありません。この際に重要なのは、我が国も従来の国内法ではなく「国際法で対応する」と世界に発信することです。

 日本以外の国は国際法に基づき領土、領海、領空の警備をしている。相手国が無断で領海に侵入し当該国の軍の指示に従わない場合、抑止力のため銃撃が認められているが、武力衝突を恐れる日本政府はいつまでたっても国内法に身を委ね、抑止の観点を忘れている。

 一国のリーダーが戦争を怖がってはいけません。戦争を怖がると戦争になります。戦っても国を守るという総理の覚悟が戦争を未然に抑止するのです。3カ月前、パラオの軍隊が領海を侵犯した中国船を銃撃し、中国の漁師が1人死にましたが、パラオと中国は戦争になどなっていません。パラオは人口2万人ほどの国で日本の地方の町ぐらいの大きさなのです。小国とて覚悟しているのです。遠く離れたフォークランドを守りに行ったイギリスのサッチャー元首相のような姿勢が国を守るのです。野田総理がひと言「我が国も国際法で対応する」と発表しただけで、中国の対応はガラリと変わるでしょう。

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